“*J日”
“*J日”
稀に事件に遭遇することも……ある。自分の望む望まないに限らず、たとえ平凡な
日々に飽き飽きしていようと、それは突然やってくる。
僕らには一般人と同じに逮捕権が無い、ただし、現行犯をのぞく……さらに言えば
たとえば……目の前でスリを目撃してしまった僕は、ぁあ。相方は僕よりも近くで
みているけれど、あの人にはたぶん無理。無理だけど見逃すことはしないだろう。
僕はコトの全てをみなかった事にしたぃ。
“ぁの、”
“……なにか。”
やはり相方は気づいて、あろうことか声をかけている、僕は見守っているだけにし
たい……後は神頼み……
逃亡のおそれが無さそうな相手……例を挙げれば身分証を見せられるとか?社員証
が首から……とか?掏った後じゃ手も握れない、身体検査、拘束はできない。今日
の相方は人に触れられるような人じゃなく……白袋を2重にする人。故に、棒を離
すことは絶対に……ない;
“今、”
“……ゴミついてました!!”
誰かが掏り返して元にもどせばみなかったことにできる……自分ルール発動。
“そりゃどうも。”
この相方、絶対わざとだ;
僕が平和主義者なのを判っていて声をかけたに違いない。自分が声をかければ、必
ず僕が動くと判っていて。無論、掏られたものが元の位置に戻れば相方にとって無
問題。要は、移動したものが気になって仕方がない、もっと言えば仕事に支障が;
でるだけで中身がどうであろうと自分に見えなかったことはどうでもいい……
尚且つ、自分の手が汚れずにすむベストな方法を選択する。
ぬかりなきコンビネーションスキルとでも言いたげな相方の視線に僕は……どうす
ることもできずに、心の中で舌打ちをしつつ苦笑いを返す。
ところでこれ。犬がいなきゃできない優れ技だったりする。けれど、誰にも視えな
いから;
話すと長くなるので、おいおいとは思っていたが……この相方はこの会社に集まる
ホンの一部であり、変な輩ばかりの集団に属しているが……僕は至って普通です。
平々凡々……それが1等です。