“再び参”
“再び参”
互いのテグスが絡み合わないよう慎重に、開けられた扉の先へと進む。何があるのか、何も無く行き止まりなのか……。相変わらず、壁伝いに手を這わせ……尤も、迷路だって必ず出口があるのなら同じ手法を取るのだけれど。たとえば鏡張りの部屋。鏡に手をついたまま這わせて進めば、ね?ほら、出られる……時間は掛かるかもしれないけれど;
真っ直ぐな廊下は多少の灯りでも、先ほどまでの闇に比べれば充分に見えている気がするのは不思議だね。明るいって、精神にも良い気がする……KKさんがとても静かになった。たったそれだけで;
“壁に隠し扉みたいなのってありますかね”
“在ると見たほうが良いだろうなぁ”
“ね、ねぇ、ねぇねぇ”
“どうしたの?KKさん”
“さっきから誰かついて来ているような気がするんだけど”
“何があるか判らない状況だからねぇ……たぶん気のせいですよ”
……ごめん、KKさん。気のせいじゃぁないんだ。アイツがやっと来てくれたんだ……正確には僕にまた見えるようになったのかもしれない。さっき扉が軽くなったのは、犬がウチの玄関扉の前で以前やっていたような何かをやったんだと思う。……ただ、どうでも良いけど僕らの後からついて来るんじゃぁなく、先を歩いて欲しい気もするが……何かあるのだろうか;
僕らは先に進むことにばかり気を取られ、後ろが無防備なのは云うまでもなかった。
“ちょっと気になったんだけど……;”
“どうした?”
“テグスも1本はそんなに長くないんでそろそろ先端が……”
“それ、ちょっとじゃないことだろ、もっと早く云えって、ここまでか;”
“結局、何も発見できませんでしたねぇ”
“ぃや、……これに、”
そう云ったNさんは新たなテグスを3本出した。
“ぉい、そういうことは早くだな、”
“結構厄介なんで、俺が結びます”
“厄介だという割りに器用ですね、Nさん”
“釣りでもやっているんですか?”
“いや、まったく興味が無いなぁ”
“……俺もずっと気になっていたんだが……”
“どうしました、J氏”
“……一体ウチはなんの職種なんだ;まったくお前ら、ホントに。”
“それ、どうでも良いことっすよね”
たいしたこと?ではないが、呑気なわりに何かにつけて器用にこなすNさん。知恵袋的なOさん。割とカンの良い、KKさん……僕にとっても厄介かも;未だ謎だらけのNTさん。相変わらず曲者で直属上司のJさん。そして、犬と僕。いや、犬は働いているわけじゃぁないけれど;
“これでほどけないとは思いますが……まぁほどけたらそん時は、ね、”
“ぁ、ぁのさ、これって、例えば落とし穴に落ちたとすんじゃん?支えきれるの?”
“さて?……試してみる良い機会かもしれないなぁ”
“……ぇ……”
“Jさん、帰ろうよ、ねぇねぇ、帰ろう、この先堕ちない保障はないよね、ねぇ!!!”
“大丈夫だって、俺らKY(危険予知)は常日頃からやってきているだろう?大丈夫、大丈夫。落とされない限りは、な;”
ぇ。ぇえええええええええええええええ!!!!!!!!!11
まさかのフラグ?いやいやいや、無い無い絶対;であってほしい。




