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“誰の伍”

“誰の伍”


どうしてこんなことに……。

特に床が抜けたとか、異次元に吸い込まれたとかそんなわけではなく、ただ単に捕まったというよりは状況把握が出来ない状態;

“ここどこです……どこですか……ねぇねぇ……”

ぁ。またKKさんの暴走が始まってしまった。そりゃそうだ……敵かどうかも不明なまま突入したものの、い、いや、僕らはただ話し合いに……扉が自動だったというだけで、この有り様。

“J氏、どうします?これから。これってやっぱ捕まっている感じですかね”

“何がどうなったのよ?”

“たぶん誰も判らないと思います;いきなりこうですから”

“そうそう、鼻が良いって云ってたけど、変わった匂いとかしない?”

“あー、あれ?よく、鳥使って有毒ガスが洩れてないかとかの?”

“僕は鳥じゃなく、犬ですし……”

“本当に犬に見えてきた;”

ぇ……それってちょっとヤバくね?まさか、アイツが見えているとか?いやいや、僕には見えないし……まさか、同調?……最近、アイツが僕に見えないことが多いのはそういうことだったのか?……いやいやまさか;無い無い;絶対;

“もう目が慣れたの?”

“い、いや、幻覚かも;忘れて”

“大丈夫か?ガスで幻覚とか洒落になんねぇぞ”

“ねぇ、ここどこ、ねぇねぇ、ここどこなの、どれくらい経った?”

“大丈夫だって。まだ、あれから2分しか経ってない……毒ガスみたいなのも、たぶん大丈夫だよ”

“たぶんって、ねぇねぇ、たぶんって”

“体内時計でしかわかんねぇしなんも見えねぇし”

確かに妄想癖人みたいに脈拍を毎日測っているようなタイプなら、多少の時間は脈拍でだいたい時間……判るかも。ただし正常な状態でなら……の話ですが;

KKさんのことは、Nさんに任せておこう。会話相手がいれば多少気が紛れる、かもしれない;

“あ。携帯、使えない?”

“無理ですね、僕のがダメなのでたぶん、皆のもダメかと”

“使えないな……っていうより、ここだから、じゃなく、あの時の電磁パールスでダメになったとかじゃないの?”

“少なくてもあの時の少しあとまではまだ使えましたね……転寝から目醒めて時間確認したとき画面真っ暗だったんで壊れたかと思いましたが暫くして再起動はできましたし”

“お前のは安物でもレアだからな;”

“そういう意味でレアなんだ……俺はもっとこう何か特別な意味でのレアかと思っていたわ;”

“ねぇねぇ、灯り、灯りもないの;”

辺りに光らしきものがまったく見えない。

“誰かライターあります?”

“ここがどこか判らない以上、火気は止めておいたほうが無難だなぁ”

“そういえば、ペンライトどうしたんです、KKさん?”

それどころではないらしかった彼が一瞬だけ我に返り自身のポケットを探る。

“……ぁ、あった、あった、あったぁああああああああああああ”

“わかった、わかったから叫ばなくて大丈夫、どうどうどう……”

まるで、なにか動物でもなだめるような仕草を、その声から感じた。

“誰もケガしていないよな”

“ないっす~”

元の場所から堕ちてはいない……たぶんね。

突然なにかに遮断されたような感覚だけがあり、ここがどこで、扉……出入り口があるかどうかさえ今は判らない。皆、何かにぶつかるまで移動してはいる、若干2名を除いて。……広すぎるのか未だ何にもぶつからない。

ただ。

それらは記憶が飛んでいなければ……の話しだし、尤も、こんな状況で歩幅も歩数も普段とは段違いで少ないけれど;皆の無事は声でなんとか判る程度。その口調から緊急性を思わせるものと窺われるのはKKさんだけかと。

“こういうときは、闇雲に動き回ってもアレだし、腹減るだけですから少し座って対策を練りましょうよ”

“ですね、Oさん。そうしましょう。あれ、Jさん、大丈夫っすか?”

“あ、すまん、ちょっと瞑想してしまっていたよ”

“それ、寝てたって意味ですかね;流石です……”

少しだけKKさんのライトで明るかった辺りがまた暗闇に戻った。

“ぁ、電池切れた。騒いだら、その口塞ぎますよ、KKさん”

……Nさん……様ざまな意味で問題発言です。

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