番外編 “妄想癖人の独り妄想”
番外編
“妄想癖人の独り妄想”
こんにちわ。巷では妄想癖人と称されております、私でございます。
このたびは、1つの妄想の世界へ皆さまをお連れいたしたく参上仕りました。以後、お見知りおきを。
実はウチに居りました“犬”のことでございます。〔みえる〕と語っているものが若干1名おりますが、決してオカルト、といった類ではございません。
ごく普通の、しいて云うならアイツはイケメン犬でございます……した。
ある日、こちらの要求にも虚しく生まれる前の場所に還るという決断をし、泣く泣く某ペット葬儀屋へお願いすることとなった次第でございます。そこで、ぇえ、あの店のマスターに初めてお会いいたしました。
“よろしければ、ある提案をさせていただきたいのですが”
“はぁ……”
“こちらでございます”
一見、なんの変哲も無いただのパンフレットのような下書きでございます。ですがそこには、私の理想のはるか上をゆくような内容が事細かに刻み込まれておりました。私は、いうまでもなく署名をさせていただきました。無論、即決断に至った経緯がございます。それは第三者さまからいうなれば、いいえ、犬畜生など極々些細なことかもしれませんが、私にはとても重大事項でございました。
一粒の涙。
泣き言を決して云わなかったヤツが現場への直行直前に初めて私の前で流したものでございます。
それだけで充分でございました。
そうして、生まれる前の場所へ還った犬は〔半可視化〕という存在になり、この世とあの世を行き来するようになったのでございます。
そして条件がございました。
未だ研究が不十分だったため、リスクは大きく1人にしか視ることのできないというものでございました。
そう、これは私のエゴから生まれてしまった妄想の、ぇえ、ヒトツにございます。
いかがでございましたでしょうか……。
それではまた、皆さまを見知らぬ妄想の世界へご案内できる日を楽しみにしております。
@1つ:全機能停止より28時間以内であること
1つ:この件に関していかなる場合も当社に任せる、ということ
1つ:妄想の範囲内でおさめること
1つ:他言無用
1つ:身の丈にあった金額の支払い
1つ:なんらかの関係で【誤りや不具合】などを発生する可能性




