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“引き鉄肆”

“引き鉄肆”


実際には、もっと丁重な内勤からの連絡ではあったけれど、僕にはそう聞こえた。聞こえたし。

自宅待機が出てしまった以上、普通世は個人で勝手に出歩くなどの他の交通手段は何もない。ハズなんだけれど?実際どうなんだろうか。2度目だが……あまり、こう……実感が……ない。僕はもとから運転はしないので歩くか走るか、良いとこ自転車。現場はかなり遠いところなので当然のように;こんな時間なわけで曲者上司が迎えに来るそうだ;先ほどの電話で、自宅の前で迎えが行くまで待つようそう告げられてた。こういうとき、社蓄世代の親なもので僕が家を出るのを反対しない……迷惑な世代を造り上げたものだ。ただ、犬と一緒に居るようにとだけ。

やっぱり視えているのかなぁ……?

それを裏付けるかのように犬は玄関の扉の前に座り込んでいた。やけにいつもより重い扉にツイに壊れたのかと思いきや……こいつが隙間無く扉の前に座り込んでいたためだった;……なにこれ;こいつ、無重量なんじゃないの?と思いながら待つこと5分。

“よぅ、待たせたな”

“ぁ、いえ。”

ドアを開けて中に乗り込む僕と同時に……犬も乗り込む;お前、走っても飛んでも良いんだぞ?無論、上司には視えていない。たぶんね?

“厄介なことになったな、俺はお前と組めて嬉しいが”

“……ホント厄介ですね”

“……ぉい、俺が厄介と聞こえるぞ?”

ぁ。ツイ本心が;

“すみません;”

“……相変わらず喰えないやつだ。だがそれがいい”

ま、まて;僕は良くない。

“いやいや、テラノ何やらかしたんです?今回の自宅待機に何か関係が?尤も待機中に要請って何事です?”

“まったく判らん。配置人数もなにもなく、とにかく来てくれ、だそうだ。”

今日は判らないことが多すぎて、回収しきれないんだろうな……;

こんなとき、本当に普通世のチカラの無さを痛感させられる。この時間帯、本来なら現場まで10分もあれば余裕で着ける筈。嘆いても仕方ないが、おそらく空世なら数秒とかからず着けるだろう、それが現状。ゲームのような……

“魔法でもつかえればな”……し、まった。

“へぇ……お前でもそんなこと考えたりするんだ?てっきりクールな視たもの主義者で且つ、本音は誰にも見透かされずに生きていると思い込んでいるのかと思っていたよ。意外だ……へぇ~”

“な、つい母親のゲームの仕様が浮かび便利だよな、と思っただけです”

というより、そこまで僕を分析しないでくれっての;

“別にいいじゃないか、普通世らしくいこうや”

“いやというほど、普通世ですし”

ホントこの曲者上司と居ると調子が狂う;狂ったまま、現場に着いた。

現場……というより……これは一体?;

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