“引き鉄参”
“引き鉄参”
2度目の自宅待機への扉は、家の玄関扉に施錠され容赦なく阻まれることとなった。
“……やはり思ったより早かったか……寝るわ”
ぇ?ちょ、寝かせない!!!!!!!!!!!11
“なに?”
かなり不機嫌そうな口調に勝るとも劣らない表情をした……そう、氷の微笑が追い討ちをかける?かのように返答する。
“何、じゃなくて。折角メシ作ってあんだから喰ってから寝てよね!!”
……そこ?;ま、まぁ、妄想癖人からしたら、そうだろうが……ここで一言、頼んでいないなどと云わない保障がないわけで。
“……いただきます”
なんと!!云わないし。それどころか箸を持ちそのまま両手を綺麗に合わせ、親指と人差し指の間に箸をスライドさせる。そして言葉を連ね食い始めた。おかしい、これはおかし過ぎる。ちょっと想像もつかないばかりか、今日、僕の体験したことの斜め上をいくような何かがあった、としか思えない。
“今日、堕天使もどき、みたわ”
僕は思い出したくもないことを口にしてみた。
“ずるい!!!!!!!!!!!私もみたい、どこで?ねぇねぇ、どこ?”
云うんじゃなかった……後の祭り。掻い摘んで、一連の成り行きを説明してみた。
“……俺は今はなにも云えないけどさ、今回かなりヤバい状況だとだけ云っておく”
“あんたねぇ!生き残れなかったら死人に梔子なんだからね?判ってんの?”
“梔子ね……俺は生き残るから、なにが相手でも。ごちそうさま。”
そういって部屋に戻った。相変わらず寡黙なシンプル?だけれど、今日はちょっとしゃべったほうだと思う。
“ちょっと!美味しかったの?不味かったの?”
僕の家ではギャンブル凶の父親のいたときから、不味いときは不味いと云うが、何も云わないのは普通か美味い、と決まっている厄介な習性があったりする。家訓ではないけれど;
って。何とどうなるのか不明だけれど、もし戦うとしたら。おそらく職業的にまず僕から呼び出しかかるかも、なんだけど;政府なんてそんなもの。
“……ぁ。ひとつ云っておくわ”
きびすを返し、閉めようとしていた襖を半開きの状態で何を云うつもりなのか、これまた想像がつかない;
“明日の朝メシは簡易に持ち運べるもので”
つまり……最小限の荷物もまとめておけ、ということか;“思ったより早かった”ってぇのは、予測不能な事態に成り得る程、ということ?……相手は空なのか?しまった、あのメールは結局誰からの情報でどういう意味だったんだよ;部屋に入ってしまった以上、訊けやしないや。もう無理無理;絶対;
“ねぇねぇ、電話、鳴ってる”
僕の携帯。相手は……本社かよ;まさか、この非常事態に今から現場ってわけじゃないよな?と、思いながら出てみる。
“悪い、テラノ組の現場。行って”
あのさ……。今?今、行かなきゃまずいの?警察の仕事じゃないの?
……まさかあいつ等、今度はどこか、次元でも破壊した?




