“出来レース陸”
“出来レース陸”
午後10時。時は放たれた。
特になにがあったわけでもなく、それは不意にやってきた。
政府の宣言で、あっけなく負け戦……戦と云えるかどうかは謎だが、そんなこんなと化し終了したようだった。
なんで?
小難しいことは精しく判らないけれど、僕らはずっとここに居て、妄想癖人に1通のメールをし夜食をすませ、寛ぎながら時を待っていた。ここへ連れてきてくれた曲者上司の長無駄話……ぉっと、マスターと知り合った経緯とか趣味の話とか;まるでお見合いの席のようで……。ぁあ、職務の愚痴もあったっけ。こればかりは後で使えるかもしれないのでメモしておくことにした。
“ゲリラ戦か……”
そう、細菌を無差別にそこかしこへとぶちまけるということで取り引きせざるを得なかったという。勝てるわけが無い。呑むしかない。政府は遠い過去にそれで失敗をしている。多くの犠牲をだした。
僕の犬が生まれる前の場所に戻ってしまったのは、そのときの失敗が原因だからだ。感染なんかしていなかったのに。僕らは無理やり引き離された。あいつが感染していたように視えたのは風邪をこじらせたからだ。なのに。
__疑わしきものは……__
馬鹿は風邪引かないとか誰が言ったんだろう。アイツは馬鹿だから風邪をひいたことにさえ気づきもしなかったけれど、僕には判った。医者は診てもくれなかった……否、正確には政府が止めたんだろう。元は、とある場所の1種の草。それに細菌があくまでも表向きは試験的に、注入された。そこから様ざまな媒介を経て拡がったらしい。それは普通世の食物にまでも拡がり、人体には然程影響はなかったが著しく免疫力の落ちている場合には重症になったりする。そして、1人が助けられた。1人だけが。
でも。
そんな遠い場所に散歩になんか行カナイ、行ケナイ。
その草を食わないしマーキングもしないことを僕は知っている、アイツは面食いでグルメなイケメン犬だ。
だから。
たまたまその感染者の友人の弟の知り合いの遠い遠い親戚の居た近くを散歩した、それだけだったのに。その遠い遠い親戚は犬が近くを通った、そう証言したらしい。無論、感染はしていなかったと、後からきかされた。その間に、風邪をこじらせたアイツが寝込んでいたときに近所であった解体作業の爆破の振動がトリガーになり……。
“どうした?もう何も心配ないと思うが”
何を引き換えに取り引きを成立させたのだろう……?そこまでは僕らには明かさない。
“嫌なことを思い出しました……いや、なんでもない、、、す”
哀シミノ連鎖ハ止マラナイ
どうして忘れていたんだろう
僕はこんなにもアイツが大好きで
まるで愛しさばかりの中に埋もれていたかのように、今。
“俺の出番かな”
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!11
それは絶対無い!




