“胡蝶参”
“胡蝶参”
それから2時間経過するも、oさんの起きる気配がみられなかった。寝返りさえうたず、ただ静かに眠り続けている。流石に〔眠り病?〕かと心配し始めた皆の意見をまとめ、あと1時間過ぎても起きなければ声をかけてみようということになった。過眠症というのがあったはずだけれど……あれも診断が難しかったような;下手するとほぼ当てはまってしまうかもしれないセルフチェックだったような。尤も、どこぞの親父みたいなのは完璧に過眠症だと思う、うん。あの人、煙草吸っていても眠る人だったし。火事にならなくて本当に良かった。妄想癖人が、親父がいるときに自分は眠れないとよく云ってたもんだが、それがしみじみと伝わってきた一件だった。
“何か良い夢でも見ているんすかね”
“夢っていえばさ、あれも陰謀説あるんだよ”
“ぇ。また?好きだな、陰謀説”
“暇でしょ、喰いながらきいてよ”
“なにその強制;”
“まぁまぁ。きこうじゃないか”
“空世の開発している、そう、あのおっさんが云ってた意識だけの失敗作の世界。あれ、普通世の夢を無許可で操って統計とったり実験しているらしいよ”
*“それは陰謀説ではなく、実際に行われ始めてから数年は経過しているハズだが……庶民にはそう伝わっているのか。指導しなおさねばだな”
“……急にめちゃくちゃ暇になったようなこの感覚をどうにかして”
“大丈夫、おっさんの話はそこまででしょ?俺の話には続きがあるから”
“……ぇ。けど、もう何があっても空世絡みで有り得る話になりそうだからな、俺らがただ無関心に知らなかったというだけでさ”
“まぁ、きいてよ”
“まぁきこうじゃないか”
“その夢がリアルに直結するんだよ”
“ん?それが空世仕様じゃないの?”
“それが犯罪だったら、いただけないでしょ?”
“なに?”
“たとえば、極端にいうと自分は何もしていないし、そういう要素もなにもない日々をおくってきたけれど、ある日突然凶暴化して無差別テロをおこすようになるとか、早い話、傭兵育成夢や殺人鬼夢や強盗夢のように多々あって”
“なにそれ、怖い;”
“何も罪を犯しそうもない人は、実際罪を犯したい、犯しそうな人の代わりに操られてしまう……という”
“なにその、完全犯罪みたいな流れ;”
“しかも、夢を通してその感覚を味わえるから始末に終えない、という”
“しかしまぁ、次から次へと”
*“……元は胡蝶計画というのがあってな……ただその計画は封印させているハズなんだがなぁ”
“無理でしょ”
“無理だな”
“無理無理;絶対”
“ホント、胸糞悪ィ話だな、聞いてりゃよ”
“ちょ、ちょっと、キミ、”
“ぇ、な、なになに?またスイッチ入ったの?”
“J氏、不意打ちはなしです”
“わかってるって、実際、俺とこいつがまともにぶつかれば俺は負ける”
“な、なにそれ;冗談でしょ?J……”
“おっさんさ、あんたに一言云っておくわ。僕はね。アヤめられてもいい。いいけれど、必ず僕の両親が復讐まがいなことをする。僕はそれを善しとしない。だから僕は黙って貴様なんかにアヤめられたりしない。僕は反撃する。何故アヤめてはいけないのか、だと?僕が反撃するからさ”




