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“胡蝶弐”

“胡蝶弐”


あれからどれくらいの時間を皆と話しているだろう。

Oさんの起きる気配がまるでない。優に2時間は経過したと思うけれど未だ変わらず熟睡している。おそらくここがどんなところであろうと彼にとってはおかまいなく、自宅で眠るのと同じことなのかな。羨ましい。いるよね、どこでもいつもと変わらずに寝られるタイプってさ。僕の身近にもいるよ。消灯時間の過ぎた病院で大部屋が暑いからと廊下で寝ていて、見かけた医師から至極心配されていたヤツが。誰とは云わなくてももう判るかな;……彼の多才っぷりは、ここでも発揮されているわけだ。流石です、Oさん。

“お二人は仮眠とらなくて大丈夫なんですか?”

“う~ん、睡魔がこないのは確かなんだけどね”

“俺も。なんだかんだって余裕みせているのかもしれないけれど?緊張しているのかもしれない;”

“時間の感覚がまったくないな……KKさん以外は;”

“わ、私もないですよ、皆さんと同じで”

時計をみながらもそう云ったKKさんは、ただOさんを見守っているかのようにも見えなくは……ない。


キミはどうおもうんだい?ブリヂット。


ぇ?なに、今の;これが世間で云う、げ、幻聴?それとも、オカルト?

一瞬だけ脳裏にひろがった暗闇の中で、どこか聞き覚えのあるような声に呑みこまれた気がした。……疲れているんだな。だいたい、なにその〔ぶりじっと〕って。見当もつかないや;なにもなかったことにしよう。僕は部屋の中を見回し、皆の様子を視線だけで確認してみた。だが、誰にもなにも聞こえていないみたいで、ただ、Oさんの寝息だけが聞こえてくるだけだった。

“KKさん、ぁのさ、そんなに観ていたらOさん寝た気がしないんじゃ”

“大丈夫、大丈夫だけど、時々呼吸が止まるんだ、無呼吸なんとかってやつかな”

“ぇ?!それは心配、次にそうなったら起こしたほうがいいんじゃ?”

“う、うん、じゃぁ、次になったときと丁度になったら起こす、起こしてみるよ”

“な、なにそれ”

“なんかありますよね、いろいろ。何秒以上とか、1時間に何回あれば、などの診断基準。ウチは放置国家でしたから、せめて寝るとき安物のでいいからマスクしてくれと頼んだけどしなかったな”

“そうなの?お前、詳しいな;”

“親父がそうだったから、少々調べたことがあって。Jさんも、気をつけたほうがいいですよ”

“な、なんで?……つか、お前、親父のこと俺に話すの初めてだよな”

べ、別にあなたに話すのが初めてではなく、人前で親父のことを語ること自体が初めてです。お間違いなく;部分的には鍛えてあるようだけれど、どうみてもその下っ腹は……いただけない気がする。親父と体系が似ているから……気道の回りが?なんて、教えてあげない。

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