“胡蝶”
“胡蝶”
このまま3時間もすれば、帰れるんだ。……とは思うものの、一体何しにここへ来たのか;なんてことはもうどうでもいいや。今までのパターンからして?考えると碌なことにならないような気がするしさ。
“なんだかんだって、シンプルっていいっすよね;そういう意味では空世なんて、俺らからしたら充分シンプルで羨ましい”
“けど、あれで愉しいんですかね?結果的な、より良い数値をたたきだそうが寸分狂わない模写をしようが……味気ないっつーか、”
“それ、俺ら感情やらのある側から観るからじゃね?奴らはなんとも思っていないかと”
“あー。だから空世と普通世は一緒に暮らさないのか”
“なにそれ、どういう思考繋がり?”
“普通世の感情豊かな喜怒哀楽の激しいヤツなんかと一緒にいたら、装置が狂う気がする”
“確かに。映画みたいなのなんかだと超能力者って暴走して能力加速するのが定番だもんね”
“機械の誤作動はいずれどうにかできるだろうけど、人の誤作動は制御するのさえ難しいわな”
“第一、何故人をアヤめたら~~なんて云わねーし;な”
……今日の、給料なしか;たとえ仕事ではないにしても、無給で拘束って……ま、まぁ寝られたし良しとするか。静かな寝息をたてながら熟睡しているようにみえるoさん。……あまり気にしたこと無かったけれど、どんな暮らしなのかな……?ここにいる皆は……どうなんだろう。Jさんは別;として。
“関係ないけどさ、なにかもらうとしたら食い物や消費できるものがいいよな;”
“な、なに急に”
“なんとなくさ。KKさん見ていて、何かもらったら逐一数えるのかな、と。喰って腹の中に入れてしまえば、”
“ああああああっぁ……なにするの”
“最初から数えなくてもすむじゃん”
そう云いながら、Nさんは口の中にKKさんの数え始めていた、種のついた、き、キウイを残らずたいらげてしまった。……ん~みると数えなくてはいられなくなるのだろうか……。僕には判るはずもなく;尤も、本人が愉しいなら……かまわないと思うけれど?
“結構大変なんだ、数えるの、それを酷いよ”
た、大変なんだ;……色々と大変なんですね、KKさん。SIBはそういう習性;みたいなことはなかった……否、今のところ無いのでまだウチはマシなのかもしれない?
“Oさん、熟睡していますね”
“……なんだかんだ、ウチの社では年齢的にも上のほうだからな。年齢からすれば職業病的にタフではあるが……それでも身体は正直だろうから起きるまで俺らは長無駄話でもしてりゃいいさ”
“Oさんって、奥さんと2人暮らしなんすか?”
“ん~あまり俺から訊いたりはしないからな。Oさんに限らず、だけど”
“え?それって、意味深……ですよ、J氏”
“なんで?”
“だって、キミにはいろいろ訊くよね?”
NTさんが僕をみながら訊ねてくる。え。ぇえっと。
“そ、そうでしたっけ?あまり憶えていないですが”
“ぉい、釣れないこと云うなよ”
“僕、魚じゃないですから”
“わかってるよ”
“痴話喧嘩やめぃ!!!!!11”




