“甦らない記憶漆”
“甦らない記憶漆”
もし。夢の中だけで生きて行けるなら、痛みもやり直しもすべて可能なんだろうな。なんて考えてしまった。1度目を夢で体験して、2度目はその夢を記憶したままの現実。そんな馬鹿なこととか、さ。
……って;あの大金を目の前にしていると、実は夢なんじゃないか……なんて思う。僕らの概念で〔札〕があまりなくて……設備間の行き来だけで、なんていうか使ったり受取ったりという間隔すらない。だからなのか、僕がそんな時代に生まれた所為か……
アレハタダノ紙切レ
そんな認識なわけで……本物だろうと偽物だろうと僕のものだとしても〔紙ゴミ〕が増えて迷惑くらいに思う。数字に支配されている世の中だと思う。ぁあ、そういや妄想癖人が云ってたっけ。素材は、五感を損なわないために大切……とかなんとか。尤も、もしこの先、空世界に統一なんてことになったりしたら必要の無い五感なんだろうけれど。
“そういやさ、”
“なに?”
“……よく支配されるとか云うじゃん。あれって、支配力と俺らの意識つか、意思。究極なことを云えばどっちが勝るんだろうな”
“……そりゃ、意思だろ”
“こええええええええええ、よ、いきなりなんすか”
いきなりOさんの眠っている近くの別の高級ソファで、目醒めたJさんが横になったまま会話に参加しだした。
“何気に焦ったわ”
“……まぁまぁ。俺にも茶くれ”
僕は云われたままにお茶を持って行った。
“……新たに入れなおさなくても、それでいいのに”
?意味が判らない。
“……Jさん、寝起きにそういうの平気で云えるって、心の底からそう考えているんすか;”
?なに?
“まぁまぁ。つまり、意思のほうが強いってことだ。尤も人によるだろうがな”
“……逃げた嫁さんの意思も固い、ということっすね”
“……そうだなあ、選択肢の多々ある中でなにをもって意思が強いと判断するのかはむずかしいけれど、そいつの生きてきた、つまりは歩んできた後ろにある道筋を見れば判りやすいの……かもな”
道筋……かぁ。ふぅ~ん。とても曲者の台詞とは思えないが……ふぅ~ん。なるほどね。伊達に僕より年を重ねて生きてきたわけじゃない、ってことか。
“……で。応えはもう出ないんだろ?”
“まぁ、無いとは云えないっすけど今のところはお手上げですね”
“じゃぁ、oさんが起きたらそろそろ帰るか”
“え?帰るの?まだダメ。ここにあるお金は全部きっちり持って帰れるように頑張って”
“KKさん、振込みって云ってたから数字を丁度に調節してもらえば良いと思う”
“あ、そ、そうなの?じゃ、帰る、帰ります。もう除菌ウエットないし”
これでやっと開放される……たぶん。




