<二日目>
今朝の俺の気分は最低だ。
昨夜はあの保健室の子が気になって、なかなか眠れなかったのだ。
遠足前の小学生みたいって言うなよ。
なんたって、俺の初めての恋なんだからさ。
しかし、名も分からぬ君がとても恋しい。
学年も分からぬ君が恋しいんだ。
今日の俺は授業中も女の子達と喋っていても上の空だった。
しかし、俺の変化に気付く者はいない。
俺を本気で愛してくれている奴なんていないということなのだ。
皆、カッコイイ彼氏としての俺を求めているのだ。
外見が良ければ俺が喋らなくても良いということなのだろう。
そんなことを思っていると皆がガタガタと椅子を立ち上がり、服を着替える。
今日も体育があるらしい。
*
今日は雨が降っている。
よって、昨日に続き体育館で、男子はバスケと女子はバレーである。
今日も俺は活躍している。
この流れは昨日と同じと思っていると、
『パシーン』
「避けて」
アタックの音と、避けてという悲鳴に近い声。
俺は何事かと振り向いてしまった。
そして、今日は顔面に激突した。
勿論意識などありません。
*
俺が目が覚めると昨日と同じベットに横たわっていた。
そして、昨日と同じようにカーテン越しに、
「スゥ、スゥ」
俺は迷いなく、カーテンを開ける。
そこには間違いなく、昨日と同じ女の子が寝ていた。
俺はしばらく見惚れていたが、ふと、触れてみたくなり、彼女の顔に手を近づける。
おそるおそる手を近づけ、正に触れようとしていた俺の手を掴む手。
その人は保健の先生だった。
「何をするつもりだったのかなぁ」
そう意地悪く言う、保健の先生。
俺は慌てて、保健室から逃げ出した。
*
教室に戻るとまた、昨日と同じ女の子が謝りにきた。
そして、これまた昨日と同じように作り物の笑顔を向ける。
「気にしなくて良いよ。だから、そんな顔しないでね」
そう俺が言うと彼女はキャッと言って喜ぶ。
しかし、俺の頭の中では昨日より保健室の彼女が大きくなっていた。




