第2話
「おいっ、アルフ準備はいいか?」
四つの影の中の一人が問い掛けた。
それに答えたのは一番背が高い、アルフと呼ばれた男だ。
「ああ。大丈夫だ。」
「ねぇ本当に行くのか、レスト?」
今度は一人心配そうに問い掛ける。
「ここまで来たんだ当たり前だろう?」
最初に声を出した者の名前はレストというらしい。
「そうよこんな所で引き下がったりしたら今までの私たちの苦労が水の泡でしょう?」
最後の一人は少女のようだ。
ティナの通う学校の外でこの4人は何やら作戦を立てている。あまり良いことではないだろう。その面持ちは皆深刻だ。
「俺達にはもうこんなことしか出来ないんだ。あの場所を抜け出してから俺達は仲間を見捨てることしか出来なかったんだ。だからもうやるしかないだろう?ジェイ」
「うん・・・やっとここまで来たんだもんね。それに目の前でもう誰も傷ついて欲しくない。」
一番心配そうに話していた一人、ジェイは右手を見ながらまるで今まで合ったこと思い出しているようにこう言った。その右手には何やら番号と何かマークのようなものの刺青が施されている。
「これは一発勝負!失敗は許されないわよ。この作戦を絶対に成功させなきゃ!」
拳を両手で作り自分自身にも言い聞かせるように少女は意気込んだ。
「ロゼの言うとおりだ。この作戦を成功させて俺達異端児の事を知ってもらわなくてはいけない。たとえ俺達が犠牲になったとしても。」
「ああ。」
「うん。」
「ええ。」
4人はそれぞれ覚悟を決めたように返事をした。
「じゃあみんな行くぞ!」
レストの声を合図に皆各自準備を始めた。銃やナイフなど凶器となる道具からありとあらゆる物を用意し、4人は今、大勢の人がそしてティナが通う、学校へと足を踏み入れていこうとするのであった。
レストとジェイ、アルフとロゼで二手に分かれ行動していく。
「じゃあ後でまた落ち合おうね。」
ロゼはそう言ってアルフと共におとりとして警備員のいるところへと向かっていった。
「俺達も行くか。」
「うん。」
二人がおとりとなっているうちに校内へ侵入しなくてはならない。例えここの警備がすごいと言っても何かしら欠点という場所くらいある。今まで長い期間をかけてこの学校のことを調べてきたんだ。それに運動能力なら普通の人よりも数段優れている。何も心配することはないだろう。
そしてレストとジェイの二人は警備の一番薄くなっている場所へと走っていった。