episode8 佑 〜彼女?〜
休み時間。おれはクラスのが男子たちとしゃべっている。
「何!? お前彼女いんの?」
「まあなー」
今の話題は、彼女がいるいないってやつ。まあ、リア充を探してるかんじ?
「おれいねぇんだよなー…」
翼がそう言って嘆く。
「佑はいいよなぁ。彼女絶対いるんだろ?」
…話を振られた。そんなこと言われてもな…。
「おれいねーよ? 彼女とか」
おれがそう言った瞬間、みんながバッとこっちを見る。
「え? 何? どーした?」
「何じゃねぇよ!! うそだろ!? あ、何か?今はいないけど、まえはたくさんいたよ、みたいな?」
いや、だから…。
「いねーって。おれ、彼女いたことないから」
みんなの目が丸くなる。おれ、なんかした?
「マジで…? そんなにモテてんのに?」
翼が信じられない、って顔をする。翼だけじゃなく、他のやつもみんな驚いた顔をしている。
だから、おれモテてなんかねーんだけど…。
「えー!? じゃあ、好きになった人とかいないの? まさか…」
「あぁ、うん」
いや、別に普通じゃないの?
「本当かよ…。じゃあ、可愛いなーとか、思うやついねぇの?」
ぐるりとクラス中を見ながら翼が言った。
可愛い、か…。織は…まぁ、可愛い方だと思うけど、いとこだし。あとは…。
優、とかか?
優は、笑うとけっこう可愛いかったよな…。でも、なんか緊張してんのか、あんまり笑ってくれなかったな。人見知りとか?でも、普通に話してはくれたし…。
「おーい? 優? 何ぼーっとしてんの?」
目の前で手を振られる。かなりビックリした。
「わっ。あ、うん。ゴメン…」
「何ー? 可愛いなって思うやついんの? 誰だれー?」
なっ…。
「ち、ちげーよ!! そんなんじゃない」
慌ててそっぽを向くおれ。何やってんだ? これじゃ、逆に怪しいだろ!
「へーぇ…。ふーん」
案の定、翼はニタっとしている。怪しい笑みだ…。
「だから違うって。…もうすぐチャイム鳴るから、席つく!」
おれはとりあえず自分の席に逃げた。
何なんだよ、もう…。