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初恋の色  作者: ふろっぐ
12/12

episode11 優 〜入学式〜

この学校は、来てすぐに入学式ではなく、3時間目くらいになってから入学式を始めるという、よくわからない制度があった。たぶん、みんなに仲良くなってほしいから、っていう理由だと思うけど。

「えー、本日はー、たいへん天気も良く…」

移動教室の話がまだ中途半端なまま、結局先生は来ず、3時間目になった。そして、校長先生の、お決まりのあいさつから、入学式は始まった。

私の隣は、もちろん円嘉ちゃんとみーちゃん。みーちゃんは、今にも寝ちゃいそう。

私も、もう死にそうなくらい眠い……。今日緊張で5時に起きちゃったし…。

「優~、眠くな~い? もう私限界…」

みーちゃんが欠伸まじりで、それでもって小声で、私に話しかけてきた。

「私もだよ…。よくみんな起きていられるよねー。円嘉ちゃんなんて、さっきっから全く動かずにきちんと座ってるしさ」

そう、円嘉ちゃんは、始まってから全然体を動かしてなくて、しかも、誰ともしゃべってなくて、背筋がピシッとしている。

「え? 円嘉寝てるじゃん。優、気づかなかったの? 始まってからすぐに寝てたよ~」

えええ!? これ寝てるの? だって、姿勢超いいよ!? さっきっから本当に動いてないし…。

私は、円嘉ちゃんを突っついてみた。

……反応なし。

すごいなー…。本当に寝てる。器用だなぁ。

って、感心してる場合か! どうしよう、起こしたほうがいいのかな?

今は、校長先生の長い話も終わり、先生の紹介に入っている。

「どーしよー、みーちゃん…。円嘉ちゃん、起こしたほうがいいかな?」

私はみーちゃんに聞いてみた。

「うーん……。そのままでいいんじゃない? なんか気持ち良さそうだし。最後らへんで起こしてあげなよ」

みーちゃんは、少し笑いながらそう言った。もしかして、なんか面白がってる?

そんなこんなはあったけど、入学式は順調に進んでいった。そして次は、新入生挨拶。誰がやるのかな…?

「新入生挨拶。新入生代表、桜庭佑」

…へっ?

私は完全に眠気が吹っ飛んだ。

確か、新入生代表って、入試トップの人がやるっていうウワサがあったような…?

…佑くんって、頭超いいんだ。本当に何でもできるんだな…。さすがにびっくりしたよ……。

「ねえ、あれ、うちらの班の人だよね?」

みーちゃんが聞いてきた。

「うん、そう。佑くん…あ、班長だよ」

みーちゃんは、佑くんじゃまだわからないかな?と思って、班長と言い直した。

「なになにー? もう名前で呼び合ってるかんじー? もしかして、これは恋の予感かなー?」

…と思ったのが、裏目に出た。みーちゃんは、かなり楽しそうにニヤニヤ。きっと、恋バナとかそういう系のやつが大好きなんだろうなー…。

「いや、流れでだし。別に何にもないから!」

私は小声で、でもなるべく強めの声で言った。

「おー? どうしたの、そんなムキになっちゃって。もしかして本当に…」

「だからそんなことないって!!」

さっきよりも、少し大きな声で怒鳴ってしまった。隣で、欠伸をする声がする。円嘉ちゃんが、起きたみたいだ。…たぶん、私のせいで。

「何? どうかしたの?」

眠たそうな目をこすりながら、円嘉ちゃんはこっちを向いた。

「そうそう、それがねー…」

「何でもない!! 何でもないよーっ!」

私はみーちゃんの言葉を遮って、手をバタバタさせた。

「…何かよくわかんないけど。後でゆっくり聞かせてもらうよ。今は静かにしといた方がいいんじゃない? 入学式真っ最中だよ」

いやいや、その真っ最中に寝てたのは誰ですか!?

まあ、でも、これ以上しゃべり続けるのもマズイかもね。そろそろ先生にバレちゃいそうだし。

「…新入生代表、1年4組、桜庭佑」

あ、新入生挨拶終わった。佑くん、あんまりよく見てなかったけど、すごかったなー…。あれ、全部一人で考えたのかな?

教室もどったら、聞いてみようっと。

この後は、中学からのお祝いの言葉などがあったけど、ぼーっとしていたら、すぐに入学式は終わった。




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