1-5 違和感 ~王太子side
「相変わらず失礼なやつでしたね。」
「そうだったか。」
「まったく。あいつ、昔からわがままでうちに来ても周りを振り回して、自分のことばかり。うちの母親も病弱なのに体調悪くても接待しなくてはならなくて、いつも帰ると寝込んでいましたよ。もう2度と来ないでほしいです。」
私の側近、モンフォール侯爵家のレオンハルトが憤る。
そういえば、レオンハルトとシャルロットは幼馴染みだったか。
やつなんて言っているあたり、かなり嫌悪感があるみたいだな。
私、アルフォンスは、一番家格と年齢のあったシャルロット・ローゼンベルクと今年婚約した。
事前の調べでは、シャルロットはとてもわがままで浪費家。
しかも、使用人にも手を上げることもある令嬢だということだった。
まあ、どうにか王妃教育を受ける素地はありそうだが。
しかし、それにも増して聞かれる評判は悪いことばかり。
私は、王太子としてこの国を守る責任がある。
だから、婚姻は王族の義務。
無論、相手は家格や国内のバランスを見ながら決められる。
自分の私情は挟まない。
私は、小さい頃から王太子として期待されてきた。
周りも私とは王太子としてしか接してこない。
いつしか私も人とのつきあいに全く興味がわかなくなった。
だから、王太子として必要とされるように振る舞ってきた。
シャルロットはまだ7歳。
これから王太子妃として過不足なく務められるのか。
民の尊敬を保てる人物となれるよう、改心していけるのか。
よく観察していかなければならない。
それにしても?
今まで、私が何度か会ったときには、自分を一番に目立たせ、常に周りを牽制し、傲慢に振る舞ってきた令嬢だった。
私への好意を隠しもせず、いつも隙あらば近づいてきたというのに。
今日の態度は何だ?
「い、いえ、そんな、けっ、結構です。ほ、本当にお構いなく。おとなしくしていれば治りますので。どうぞ。 」
まるで、私に興味がないような、
いやそれより私を拒絶してなかったか?
ほとんど目も合わせなかったぞ。
しかも、早く帰ってほしそうな態度。
使用人たちにも嫌われているという話だったのに、丁寧に話していなかったか。
何よりも傲慢な娘が、私に素直に謝っていたな。
何か違和感を感じる。
今までのシャルロットとは違うような。
想定外だな。
君がそう来るなら、もう少し構ってみるか?
「もう、お見舞いなんていかなくていいですよ。何ですか。あの、もう来なくていいと言っているような態度。」
「いや。もう少し様子を見よう。
明日からは花だけでなく、様子を伺うカードも付けてみよう。」
私の態度の変化にレオンハルトは眉間にしわを寄せた。
気になるな。
じっくり観察を続けてみるか?




