1-2 メイドたちに遠巻きにされてます(泣)
「えー。嫌よ。だって、花瓶を投げられてケガをしたの知ってるでしょう。」
「私だって、せっかく届けた食事が気に入らないからって、ひっくり返して、やけどしたのよ。」
「私なんか、髪形が気に入らないから、もうやめてなんて、横暴すぎるでしょう。」
「もう我慢できないって、何人も辞めていったのよ。」
「絶対いやよ。やりたい人なんていないわ。」
「仕方ないわね。今日は私が行くわ。」
目を覚ました日。
メイドたちの私を世話する人を嫌がって争っている声が聞こえてきた。
私、そんなに嫌われてたの?
断罪回避を誓ったけど、無理じゃない。
何してくれてるの、私。
医師に診てもらい、頭を打ったのでもうしばらく安静にすることになった。
それなのに、メイドはなぜか、ほとんどしゃべらない。
しかも、視線も合わせず、必要以上に近寄ってこない。
常におどおどしている。
「あのう。それでは何かございましたらお呼びください。」
「本当にありがとう。」
ビクッ
一言お礼を言っただけなのに、そそくさと部屋を出て行ってしまった。
一つも仲良くなる糸口が見えてこない。
今までわがまま放題言いたい放題。
メイドを便利係として、好き勝手扱ってきた。
そのつけが・・・
やらかしてる。
仕方ない。
ーーーーまずは、とにかく謝る。
これしかない。
断罪回避の第1歩。
やってやる。
日本の会社でもまれた根性見せてやる。
目覚めて2日目。
メイドが食事を運んできてくれた。
「あ、アリサ。食事をありがとう。」
「えっ。」
「どうしたの?」
なるべく、笑顔でゆっくりを心掛ける。
「あ、あの。」
「ゆっくりでいいから。どうしたの。」
「な、名前ご存じだったんですか?」
「もちろん。だっていつも時間通りに食事を運んでくれたでしょう。それに、私がケガした時もずっと部屋で見ていてくれたでしょう。いつも本当にありがとう。」
「なんか、お嬢様。いつもと。あ。失礼しました。何でもございません。」
「いいのよ。私も今までわがままで悪かったわ。本当にごめんなさいね。」
・・・・・
「し、失礼しました。」
そういってアリサは慌てて部屋を後にした。
信頼回復には、まだまだね。
まあ、始まったばかりだもの。
何度でもチャレンジよ。
就活で落ちまくった私に怖いものはない。
継続は力なり。
3日目
「アリサ、今日の食事は、とてもおいしかったわ。料理長にもぜひ伝えてもらえるかしら。」
「はい。」
5日目
「アリサ、今日はお花を飾ってくれてありがとう。気持ちがとても明るくなるわ。」
「お花は婚約者の王太子殿下からです。」
「えっ。」
「毎日届いております。」
「そ、そう。」
「失礼します。」
なぜ、王太子殿下が花を。
そうか。お会いする予定の日にけがをしたから、
仕方なく贈ってきたのか。
それにしても、なぜ毎日。
なるべく、近づきたくないのにな。
もしかしたら、監視されてる?
くわばら、くわばら。
そして、1週間
「アリサ、あなたここ1週間ずっとお世話に来てくれているわね。嬉しいけれど、お休みはちゃんととってね。心配だわ。」
「いえ、休む時間はあるので大丈夫です。ご心配いただき、ありがとうございます。」
笑顔はないが、会話が少しずつつながるようになってきた。
こうして、少しずつ、アリサとの信頼関係ができてきた。
そして、アリサから広がり少しずつ屋敷の使用人ともつながりができてきた。
でも、信頼関係回復までは、まだまだ。
頑張らなくては。
でも、もっと気になるのは、家族。
時々顔を見せてくれるのは、お父様だけ。
それも、
「何か欲しいものはないかい。かわいいシャルロット。」
って・・・
お母様に関しては、娘がケガして何日もベッドにいるのに、顔も見せないなんて。
次は、家族関係改善ね。
はあ~。
断罪回避も長い道のり。
でも、命は大事。
全てのフラグをへし折るまでは、がんばらなくちゃ。




