波乱の幕開け
始めまして。まきゅです。初めての投稿故カスみたいな文章になってしまっていますが暖かく見守っていただけると幸いです。
まだ太陽も昇りきらず、少し冷え込む早朝。そんな時間に目覚まし時計の音が、甲高く鳴り響く。
「ん、、、もうこんな時間か、、、」
兎の少年は黒地に白い斑点のある体をむくりと起こし、時計の方に目をやる。時計は4時を指していた。かなり早い時間ではあるが、彼の1日はもう始まっている。寝巻きから軽装に着替え、荷物を手に取ってから、まだ眠っている人を起こさないように、静かに寮をでる。守衛に軽く挨拶をし、海岸沿いの道を軽く走る。
いつものコースを1周し、今度は学校の端にひっそりと佇む弓道場へゆく。一時期はかなりの人がいたらしかったが、今ではもうその面影はなくなっており、少年以外に人影はなかった。袴に着替え、心を落ち着かせ、的前に立ち、矢をつがえ、弦を引きしぼり、矢を射る。誰かに見てもらうわけでもない、完全に自己満足の趣味ではあったが、少年にとっては幸せな時間だった。
しばらくして、少年が時計を見ると、朝起きてから3時間は経過しているらしかった。全てが予定通りの時間に進み、少年は大変満足した。放った矢を取り、あらかじめ荷物に入れておいた制服に着替え、一旦寮へ戻る。少年の部屋は本来なら相部屋だったのだが、その相手が学校を辞めてしまい、今は実質的な1人部屋であった。それでも少年は、朝だぞと誰もいないベッドに声をかけた。少年は一度
固定化したルーティンを変えて臨機応変に行動するということが大変苦手であった。故に鞄の中には全ての教材が詰め込まれている。
少年は食堂へ向かい、簡単な朝食を取り、教室へと向かった。教室はいつも通り施錠されており、少年が開ける。扉を開けた時の音が、静かな校舎に少しだけ反響した。少年は自分の席へ着き、原稿用紙を取り出す。というのも、同じ部屋に割り当てられた者が遅刻をした場合、連帯責任で同じ部屋の者も反省文を書く決まりがあった。少年はもちろん遅刻などしていない。というより、遅刻するのは相部屋になった生徒の方である。その生徒がやめる少し前から、日に日に遅刻が多くなってゆき、最終的にはほとんど遅刻するという状態であったので、少年も毎日のように反省文を書かされていた。しかし、少年はその生徒が辞めたことを今更ながら思い出し、日常が戻ってきたと胸を撫で下ろした。
しばらくすると、生徒達が登校しはじめ、だんだんと騒がしくなってくる。そんな変わり映えのない日常。少年はこういう日常を求めていた。がしかし、何か違う気がする。他の生徒がいつもより騒がしくなっている。少年は何を話しているのかと耳を傾けるが、聖徳太子でもないので聞き取ることはできなかった。
そうこうしているうちに担任の教員が扉を開け、その高い体をかがめ、ぬるりと入室してくる。それと同時に、生徒達は蜘蛛の子を散らしたように各々の席につき、先ほどまで騒々しかった教室が嘘のように静まり返った。瞬きの音さえ聞こえてきそうなほど静かな教室に、担任の声のみが響く。
「お早う御座います皆さん。突然ですが、本日は退学により空いてしまった席を埋める形で移籍してきた子がいます。入って来なさい。」
担任がそう言い終わると、華奢で小柄な、どちらの性別と言われても納得できそうな風貌の人物が、まるで自信に満ち溢れた子供の様な足取りで入室し、全員の視線を集める。染めたとしか思えない程、異常なまでに白い毛。否が応でも目を引いてしまう、やけに煌びやかな耳飾りの数々。季節外れのマフラーに、不可思議の模様の片方だけの手袋そして極め付けは透き通った、色の異なる双眸。その全てが学校という場において異質としか言いようがなかった。その人物は、場の重苦しい空気とは対照的にとても明るい口調で喋り出す。
「えっと、自己紹介すればいいんだよね。ボクはシロっていうの!よろしくね!」
未だかつてこんな適当でひょうひょうとした自己紹介があっただろうか。少年はどこかシロを好きにはなれなかった。それは他の生徒も同じな様で、冷笑か、あるいは軽蔑か。すくなくとも良くない感情を込めた眼差しでシロを見つめていた。しかし、鉄面皮なのかなれているのかはわからないが、少しも気にする様子はなかった。
「空席にどうぞ。」
シロは人がたくさんいる教室の中でポツンと空いている、少年の横の席に座った。シロはまじまじと少年を見つめる。
「ふしぎな模様だねぇ、、、それにエイみたいな尻尾、、、もしかしてキミ混血?」
その何気ない言葉に、教室の空気が一気に凍り、少年は激昂した。そもそも、混血は世間的に腫れ物の様に扱われており、混血はもはや蔑称に等しく、少年そのことを指摘される事をひどく嫌っていた。少年が立ち上がり、シロの胸ぐらを強く掴む。
「お前、、、意味わかってて言ってんのか、、、
そこまで言った直後、少年の体が大きく傾き、床に勢いよく倒れた。
「"因果応報"ってやつだね」
にやりと笑うシロが視界に入り、その後、少年は気を失った。
最後まで読んでいただきありがとうございます。読者の皆様のお気に召したなら幸いです。不定期になってしまいますが更新はしていきますので、よろしくお願いします。




