厨二病の成れの果て
王道ではなく少しカオスにしました。たのしんでください
主人公:佐藤悠斗、17歳、高校2年生。
生前は典型的な厨二病患者。「黒炎の覇王」「虚空を喰らう者」みたいな自称を連発し、ノートにオリジナル必殺技を1000個以上書き溜めていた。
ある日、いつものように帰り道で「これが俺の最終奥義……“深淵より来たる黒き雷霆!!」とポーズを決めた直後、トラックに轢かれた。
目が覚めると——
「ゆうと、おはよー! 朝ごはんできたよー!」
……母さんの声だ。
しかも、名前も顔も昨日までのまんまだ。
部屋も、制服も、スマホの中身も全部同じ。
カレンダーを見ると、轢かれた翌日になっている。
「は? 異世界転生失敗? それとも……これが異世界で、記憶を植え付けられたパターン!?」
と興奮する悠斗だったが、学校に行くとクラスメイトも先生も全員知ってる顔。
完全に日本。完全に地元。
しかし、違和感はあった。
学校には“表の生徒”と“裏の能力者”が混在しており、
放課後になると屋上で「魔王候補」同士が決闘してたり、
コンビニの裏で「異界からの侵略者」がバイトしてたり、
色々やばい
そして、授業中、ふと黒板に向かって「燃え上がれ……“紅蓮の狱炎”」と小声で呟いた瞬間——
黒板が本物の炎に包まれた。
しかも、誰も驚かない。
「佐藤くん、またやってる〜」とクラスメイトが笑ってるだけ。
……そう、この世界は「俺が想像した攻撃技が全部、現実になる」世界だった。
ただし、条件がある。
・攻撃技“のみ”有効(回復とか補助は一切ダメ)
・自分が「カッコいい」と本気で思った技名を叫ばないと発動しない
・威力は「自分がそのときどれだけ本気で厨二病を拗らせてるか」に比例する
つまり、厨二病の度合い=戦闘力。
最強ではない。
でも、厨二病患者にとっては最強のチートだった。
悠斗の代表的な技(抜粋)
虚空を喰らう深淵の魔眼→指定した範囲の物質を消滅
永劫回帰の黒き太陽→時を5秒巻き戻す(ただし自分だけが記憶を保持)
終焉を告げる終末の葬送曲→発動した瞬間、敵が「死んだ気になって」気絶する(精神攻撃)
しかし、厨二病が過ぎると鼻血が出る、頭痛がする、恥ずかしくなって自分で技を解除してしまう、などの弱点も多数。
悠斗が完全に「この世界、ヤバい」と確信したのは、転生(覚醒)してから三日目のことだった。
朝、いつものようにコンビニでパンを買って学校へ向かうと、
空が割れた。
文字通り、空に黒い亀裂が走り、そこから身長50メートルはある巨人が降ってきた。
顔は無く、ただ白い仮面のようなものがあって、腕が六本ある。
街の人たちは悲鳴を上げるどころか、スマホで撮影しながら「また来たよ〜」「今日は何波目?」と呑気な様子。
悠斗だけが絶叫した。
「おいおいおい! 進撃の巨人じゃねーかよ! 著作権どうなってんだよ!」
すると巨人が悠斗を指差して、機械的な声で言った。
【識別コード:Δ-773「黒炎の覇王」……脅威度:A+……即座に排除】
次の瞬間、巨人が腕を振り下ろす。
悠斗は咄嗟に叫んだ。
「舐めるな……“無限虚空の絶天断罪刃”!!」
地面から黒い刃が無数に立ち上がり、巨人の腕を一瞬でバラバラに。
切断面は跡形もなく消滅していく。
周囲のサラリーマンが拍手した。
「おお、佐藤くん今日も冴えてるね〜」
「最近の若者は技名が長くてカッコいいよねぇ」
……完全に日常だった。
それからというもの、現実が完全に崩壊していく。
昼休みに屋上で弁当を食ってると、突然クラスメイトの一人が「我は人の理を外れし者……!」と叫びながら怪物化。触手が生えて暴れ出す。
→ 理由:「寝不足でストレスが溜まってたから暴走しただけ」と本人談。翌日には普通に戻ってる。
帰り道、駅前で「魔導列車エルドラシオン」が現実空間に出現。
乗客は全員エルフや獣人やドラゴンで、みんなスーツ着て会社帰り。
→ 「遅延してすみません、異界線の混線で……」とアナウンス。
夜中にコンビニ行ったら、レジにスライムがいた。
「いらっしゃいませ〜、ポイントカードお持ちですか〜?」
→ 名前は「タロウ」、バイト歴8年、正社員登用待ち。
学校の文化祭で「魔界クラス」が本物の悪魔を召喚してしまい、
校庭が一時的に奈落に落ちる。
→ 先生「まあ毎年あることだから」とか言って修復魔法かけて終了。
そして極めつけは——
ある日、悠斗の父さんが会社から帰ってきたときのこと。
「おかえりなさい、お父さん」
「ああ、ただいま……今日は疲れたよ。隣の課の奴がまた“最終形態”に覚醒しちゃってさ。会議室が星になったんだよ」
母さんが普通に笑いながら言う。
「私も昔はよくやったわよね〜。大陸一つ吹き飛ばしちゃったりして」
「ははは、あの頃は若かったなあ」
悠斗、完全に壊れた。
「いやお前ら……それ普通に言わないでくれ……」
この世界の真実が、徐々に明らかになっていく。
実は日本は「異世界からの難民・隠居・逃亡者・観光客が最も集まる惑星」だった。
地球全体が“宇宙の裏路地”みたいな立ち位置で、
表社会と裏社会が完全に融合してる。
ただし「目立っちゃダメ」という暗黙のルールがあって、
みんな必死に“普通の日本人”を演じてるだけ。
だからこそ、悠斗の厨二病が完全に浮いてなかった。
むしろ「ちょうどいい塩梅」で受け入れられてた。
そして、もう一つ能力があった。
能力名は【創造主】
「自分が本気で“こうあってほしい”と願った人間を、現実に出現させる」
そして悠斗はムフフなことしか考えなかった。
お母さんに明かすと
「アンタねぇ……この能力、誰から受け継いだと思ってるの?」
「え……?」
「私よ。私が若い頃、100人くらい作っちゃって……大変なことになったのよ」
悠斗、震え上がる。
「そ、それで……どうなったんですか……?」
「全員、私にベッタリで離れなくてね。
最終的に『お母さん一筋だから、他の女いらない』って泣いて自爆したわ。
……街一つ消滅した」
怖い。怖すぎる。
母さんは淡々と続ける。
「クリエイトで作った人間は、
“創造主の欲望の鏡”なの。
アンタがムフフなこと考えて作ったら、
そいつらも全員ムフフしか頭にない脳みそになる。
そして永遠にアンタから離れられない」
悠斗は完全に懲りていなかった。
夜中、母さんが寝静まったのを確認してから、
布団の中でこっそり能力を起動させる。
「よし……今回は完璧だ。
絶対にエロいこと考えてない。
純粋な青春のため……純粋な青春のため……!」
深呼吸して、脳内でイメージを固める。
同じ高校の同級生
茶髪ショート、つり目、ちょっと黒がかった茶色の瞳
身長172cm(俺よりちょっと低いのが萌える)
胸は……小さすぎず大きすぎず、俺が一番好きな絶妙サイズ
性格はツンデレ(でも根は優しい)
好感度は「気になってる」くらいでスタート
脚フェチなので……脚はもう、芸術レベルで美しく
制服着てるけど、スカートは学校規定ギリギリ超えの短さ(でも本人に自覚なし)
そして最後に、名前を決めずにクリエイト。
ぽん。
淡い光の中から現れたのは、まさに理想の女の子だった。
茶髪のショートヘアがさらりと揺れて、
つり目がちょっと眠そうに悠斗を見上げる。
「……あれ? 私、誰……?」
彼女は自分の制服(明らかにスカート短すぎ)を眺めて首を傾げた。
悠斗、鼻血を抑えながら必死に平静を装う。
「な、名前……自分で考えてくれ! 俺は佐藤悠斗、お前の同級生だ!」
彼女は少し考えて、ぱっと笑った。
「じゃあ……『九条 凛音』でいいかな。
なんか、しっくりくる気がする」
その瞬間。
ズキィィィン!!
頭に激痛が走った。
能力の反動が一気に来たらしい。
視界が歪み、鼻血がダラダ漏れ。
そのままベッドに倒れ込む。
「ちょ、ちょっと大丈夫!? 悠斗!?」
凛音(もう名前決まった)が慌てて抱き起こしてくれる。
……あったかい。
しかも胸の感触が……ちょうどいい……!
「バカ! こんな時間に何やってんのよ!
……ほんと、心配するじゃない……」
ツンデレ全開で怒りながらも、
凛音は悠斗の額に手を当てて、そっと光を灯した。
痛みがスーッと引いていく。
「……え? お前、回復できるの?」
「さっきから頭の中に知識が流れてきてて……
私、治癒能力持ってるみたい。
ていうか、あなたが作ったんでしょ?」
悠斗、完全に動揺。
「ちょ、待て待て待て! なんで回復までついてんだよ!?
俺、エロいこと考えてないのに!?」
すると、ドアが静かに開いた。
「……あら?」
母さんだった。
完全に目が覚めてる。殺意のオーラが部屋を満たす。
悠斗、死を覚悟した。
が、
凛音がサッと立ち上がって、
ぺこりとお辞儀した。
「お初にお目にかかります!
2年B組、九条凛音です!
今日転校してきて、悠斗くんと仲良くなったんですけど、
ちょっと体調悪くなっちゃって……私が看病してました!」
母さん、しばらく無言で二人を見比べて……
「……ふーん。同級生ね」
殺気がスーッと引いていく。
「まあいいわ。青春よね〜。
でも門限は朝6時までだから、ほどほどにね?」
ドアが閉まった。
悠斗、放心。
「……今、俺、死ななかった……?」
「あなた、私のことちゃんと『冒険仲間』って設定にしてたでしょ?
だからお母さんも納得してくれたんじゃない?」
凛音がニヤリと笑う。
「これからよろしくね、相棒♡
……って、ちょっとスカート短すぎない!? 誰のせいよ!」
悠斗、顔を真っ赤にして布団に突っ伏した。
こうして、
最強の回復役兼ツンデレ美脚美少女・九条凛音が、
悠斗の冒険仲間(&監視役)として加わった。
もちろん、母さんの監視はさらに厳しくなったけど。
「……青春、最高だ……(小声)」
さて、悠斗はこれからどうなるのか
続く、、、、!!!!!!!!!
これからもよろしくお願いします。感想コメントよろしくお願いいたします。ミスなどあったらお伝え下さい。




