第四話 未来の重荷
セフィラは、イゼルの懸念をさらに深める結果となった自分の行動を、厳しく反省した。このままでは、彼は自分を愛の対象としてではなく、治療すべき異常者として断罪するだろう。そして、自分が未来からの訪問者だと知れば、その精神的な重圧は計り知れない。
「私は、彼に未来の私の悲劇を思い出させ、二度にわたる孤独を永遠の魂に刻ませることになる」
セフィラは、イゼルに平穏な永遠を歩ませるため、自分の強い意志をもって、二度目の拒絶を実行することを決めた。それは、未来で運命に屈した拒絶とは違い、自己犠牲を伴う崇高な拒絶だった。
セフィラは、イゼルを最後の会談のために呼び出した。場所は、未来で自分が命を終え、彼に最後の愛の言葉を伝えようとした、あの静かな丘の上だ。
「イゼル。あなたの永遠の愛は、私には重すぎます。私はあくまで騎士の使命を選びます。あなたの永遠は、私の短い時間とは決して交わらない」
その言葉は、未来でイゼルに向けた最後の決別の言葉と全く同じだった。だが、セフィラの瞳は、過去の頑なな瞳とは異なり、深い悲しみと、抑えきれない愛に満ちていた。
イゼルは、セフィラの決別の言葉を聞き、静かに首を振った。
「あなたの言葉は、過去のあなたとそっくりです。しかし、あなたの瞳は未来の悲しみをはっきりと映し出している。あなたは、私に対して重大な嘘をついている」
セフィラは、イゼルの並外れた洞察力に驚いた。彼は、言葉という表面的な情報ではなく、セフィラの瞳の奥にある記憶を読み取っていたのだ。
「あなたは、何か重大な秘密を抱えている。そして、その秘密は、あなたの短い命をさらにすり減らしている」
イゼルは、セフィラに一歩、厳かに近づいた。
「あなたの秘密が何であろうと、私はあなたの時間の全てを尊び、愛する。どうか、私から逃げないでほしい」
セフィラは、イゼルの献身的な愛に、涙をこらえることができなかった。だが、彼女は、イゼルに未来の記憶という重荷を背負わせるわけにはいかなかった。
「ごめんなさい、イゼル。どうか私を忘れてください。あなたには、永遠の安らぎこそが絶対に必要なんです」
セフィラは、二度目の拒絶を告げると、騎士団を辞職し、イゼルから離れるかのように、自分の運命を力ずくで変えるための孤独な旅に出た。




