第5話: 聖なる湖の守護者と裏切りの炎
1. 聖なる湖への旅
カズマ・ヒノカミとリリア・ブレイズは、ギルドの新たな依頼を受けて「聖なる湖」へと向かっていた。馬車の中で、カズマはいつものようにインフェルノ・ガトリングを磨きながら上機嫌だ。
「なぁ、リリア。聖なる湖って、なんかキラキラした観光地っぽくね? ついでに泳いでバカンス楽しもうぜ!」
「アンタ、ほんと脳みそ火球だな……。あそこは魔王軍が狙う神聖な場所だ。遊び半分で挑むと死ぬぞ」
リリアの声には、いつもより重い響きがあった。彼女の握る剣の柄には、微かに緊張が伝わる。
カズマは首を傾げる。「お前、なんか知ってんのか? さっきから妙にピリピリしてんぞ」
リリアは一瞬目を逸らし、苦笑いで誤魔化す。「まぁ、ちょっと因縁があるってだけさ。ほら、着いたぞ。準備しろ!」
馬車が止まり、二人の前に広がるのは、まるで鏡のように澄んだ聖なる湖。だが、その静けさは一瞬で破られた。湖畔に現れたのは、魔王軍の軍勢と、その先頭に立つ巨大な竜――「聖湖の守護者」を奪うために送り込まれた「アビスドラゴン」だ。
「ハハッ! でっけえトカゲ! こいつ、焼き鳥にしたら何人前になるかな?」
カズマの軽口に、リリアが叫ぶ。「バカ! あいつは神獣クラスだ! 気を引き締めな!」
2. アビスドラゴンとの死闘
戦闘が始まるや否や、カズマはガトリングを構え、火球を乱射。「マシンガンファイアボール、フルバースト!」
無数の火球がアビスドラゴンの鱗を焦がすが、竜は咆哮を上げ、漆黒のブレスを吐き出す。カズマは咄嗟に跳び退き、ブレスが地面を溶かすのを見て舌を巻く。
「うわっ、マジか! 俺の火球より熱そうじゃん!」
リリアは炎の剣を振り、竜の尾を切り裂きながら叫ぶ。「カズマ、ブレスに気をつけろ! あいつの弱点は頭の角だ! そこを狙え!」
「了解! なら一発で仕留めるぜ!」
カズマはガトリングに全魔力を注ぎ込む。「マシンガンファイアボール、ギガフレア・インパクト!」
巨大な火球が竜の角を直撃し、爆炎が湖畔を包む。だが、竜は倒れず、逆にカズマに突進。鋭い爪がガトリングをかすめ、カズマの腕に傷を負わせる。
「ぐっ! こいつ、硬えな……!」
その瞬間、リリアが竜の背に跳び乗り、炎の剣を角に突き立てる。「カズマ、今だ! 撃て!」
「よっしゃ! もう一発、くらえ!」
二人の連携で放たれた火球と剣撃が、ついにアビスドラゴンを撃破。湖畔に静寂が戻り、カズマはヘトヘトで地面に座り込む。
「ふぅ……焼き鳥計画、失敗か。まぁ、勝ったからいいけどな!」
リリアは笑いながら手を差し伸べる。「アンタ、ほんと無茶苦茶だな。けど……悪くねえよ」
3. リリアの告白
戦闘後、湖畔で休息を取る二人。リリアは湖を見つめ、静かに口を開く。
「カズマ、話しておくべきだと思う。私のこと……そして、魔王のこと」
カズマは焼き魚を頬張りながら、「お、ついに重い話か? まぁ、聞いてやるよ」と軽く返す。
リリアの話は衝撃的だった。彼女は魔王の娘として生まれ、幼い頃に聖なる湖で育てられた。だが、魔王の野望に反発し、父を倒すために旅に出たのだ。聖なる湖には、魔王の力を封じる「神聖のオーブ」が隠されており、魔王軍はそれを狙っている。
「で、俺のガトリングがそのオーブと関係あるってわけ?」
カズマの問いに、リリアは頷く。「多分な。アンタの武器、ただのチート装備じゃねえ。魔王すら恐れる力を持ってる……けど、危険すぎる」
その時、湖の中心が光り始め、オーブが浮かび上がる。だが、同時に黒い影が現れる――ミラと、彼女の新たな仲間、鎧をまとった巨漢戦士「ガロン」。
4. ミラとガロンの襲撃
「カズマ・ヒノカミ! そのガトリングとオーブ、両方いただく!」
ミラの短剣が光り、ガロンの巨大な戦斧が地面を砕く。カズマとリリアは即座に戦闘態勢に入る。
「またお前か、チビ! 今度は何!?」
「黙れ! その武器は炎の神の器だ。オーブと合わせれば、世界を滅ぼす!」
ガロンが突進し、カズマの火球を正面から受け止める。その剛腕に、カズマは焦る。「なんじゃこいつ、火球効かねえ!?」
リリアがガロンを引きつけ、ミラに剣を向ける。「カズマ、オーブを守れ! こいつらは私が抑える!」
だが、戦闘中、ガトリングが再び脈動。カズマの頭に、炎の神の声が響く。「我を解き放て……全てを焼き尽くせ……」
カズマは頭を振る。「うるせえ! 俺のガトリングは俺のもんだ!」
リリアの剣とカズマの火球が連携し、ガロンを押し返すが、ミラがオーブに手を伸ばす。絶体絶命の瞬間、湖から眩い光が放たれ、ミラとガロンを吹き飛ばす。オーブが自ら動き、カズマのガトリングに吸い込まれた。
「な、なんだこれ!?」
ガトリングが赤く輝き、カズマの体に激痛が走る。リリアが叫ぶ。「カズマ、離せ! その武器、ヤバい!」
5. 新たな力と次の試練
ガトリングにオーブが融合し、武器の形状が変化。銃口がより鋭く、炎の紋様が浮かぶ新たな姿に。カズマは痛みに耐えながら笑う。
「ハハ、なんかパワーアップしたっぽくね? これで魔王も一発だ!」
だが、リリアの表情は暗い。「カズマ……その武器、魂を喰ってるかもしれない。私、黙ってて悪かった。けど、絶対にアンタを守る」
二人が湖を後にする中、ミラとガロンは遠くで再び動き出す。「オーブはガトリングに取り込まれた……次の手を打つぞ」
ギルドに戻ったカズマとリリアに、新たな依頼が告げられる。魔王軍の総本山が動き出し、決戦の時が近づいている。カズマはガトリングを握り、ニヤリと笑う。
「魔王だろうが神だろうが、全部燃やしてやるぜ! リリア、行くぞ!」
リリアは小さく頷き、心の中で誓う。「父さん……私はアンタを止める」
 




