第3話: 炎のコンビと謎の追跡者
1. ルナリスの酒場で波乱の予感
ルナリスの街の酒場「ドラゴンのたまり場」は、冒険者たちの笑い声とビールの泡で賑わっていた。カズマ・ヒノカミとリリア・ブレイズは、ダークトレント討伐の報酬で豪勢に飲み食いしていた。
「いやー、リリア、お前と組むとマジで楽だわ! あの木の化け物、30秒で灰とか俺ら最強じゃね?」
カズマは焼き肉を頬張りながら、インフェルノ・ガトリングを愛おしそうに磨く。
「フン、アンタの火球がなかったら、私一人でも1分で終わらせられたけどな!」
リリアはニヤリと笑い、ビールを一気飲み。だが、彼女の視線は時折、酒場の入り口へとチラつく。何かを警戒しているようだ。
その時、酒場の扉が勢いよく開き、黒いローブをまとった小柄な少女が現れた。彼女はフードを目深にかぶり、鋭い目つきでカズマとリリアを一瞥すると、カウンターの隅に座った。
「なんだ、あのチビッ子? めっちゃ怪しくね?」 カズマが小声で囁く。
「しっ! アンタ、声でかいよ! とりあえず無視しな。なんかヤバい気配するから」 リリアの声には、珍しく緊張が混じっていた。
2. 追跡者ミラの襲撃
その夜、カズマとリリアは宿屋へと戻る道すがら、背後に気配を感じた。カズマが振り向くと、昼間の黒ローブの少女――ミラが、闇に溶け込むように立っていた。
「カズマ・ヒノカミ。貴様の『インフェルノ・ガトリング』は、この世界の均衡を崩す。渡せ」
ミラの声は冷たく、彼女の手には青白い光を放つ短剣が握られている。
「ハ? いきなり何だよ、チビ! このガトリングは俺の命より大事な相棒だぞ!」
カズマは即座にガトリングを構えるが、リリアが前に出て剣を抜く。
「カズマ、こいつはただ者じゃねえ。気をつけな!」
ミラは一瞬で動いた。彼女の短剣から放たれた光の刃が、カズマたちを襲う。だが、リリアの炎の剣がそれを弾き返し、カズマがすかさず反撃。
「マシンガンファイアボール、バーストショット!」
火球が夜の路地を照らし、ミラの周囲を爆炎が包む。だが、ミラは光のバリアを展開し、火球を全て防ぎ切った。
「ちっ、こいつの魔法、めっちゃ硬えな!」 カズマが舌打ちする。
「ふん、貴様の火力も悪くない。だが、それだけでは私を倒せん!」
ミラが再び短剣を振り上げるその瞬間、リリアが叫ぶ。
「カズマ、今だ! フルパワーでぶっ放せ!」
「了解! マシンガンファイアボール、メガフレア・オーバードライブ!」
カズマがガトリングに全魔力を注ぎ込むと、銃口から放たれた巨大な火球が街の一角を飲み込んだ。ミラはバリアを張るが、その圧倒的な火力に押し負け、姿を消す。
「ふぅ、なんとかやったか……って、おい! また街燃やしちまった!」
カズマが振り返ると、路地の建物が半分炭化していた。リリアが呆れた顔で肩を叩く。
「アンタ、ほんと学習しねえな……またギルドに怒られるぞ」
3. インフェルノ・ガトリングの秘密
宿に戻ったカズマは、ベッドに寝転がりながらインフェルノ・ガトリングを見つめる。ミラの言葉――「世界の均衡を崩す」――が頭から離れない。
「なぁ、リリア。あのチビ、俺のガトリングのこと知ってるっぽかったな。なんかヤバい秘密でもあんのかな?」
リリアは窓の外を見ながら、意味深に答える。
「さあな。けど、アンタのその武器、普通の魔法具じゃねえよ。撃つたびに妙な魔力の揺らぎを感じる。……気をつけな、カズマ」
その夜、カズマは夢を見た。炎に包まれた世界で、インフェルノ・ガトリングが赤く輝き、囁くような声が響く。
「我は炎の終焉を司る者……汝の魂を代償に、世界を焼き尽くす力を与えよう……」
目が覚めたカズマは、冷や汗をかいていた。ガトリングを握る手が、なぜか震えている。
「なんだこれ……マジで呪われてるのかよ?」
4. 新たな依頼とリリアの決意
翌朝、ギルドに呼び出されたカズマとリリア。案の定、昨夜の騒動でまたもや罰金宣告。ただし、ギルドマスターから新たなクエストが提示される。
「カズマ、リリア。魔王軍の前線基地が近くで確認された。そこに潜む幹部『闇の司祭』を倒してほしい。報酬は……1千万ゴールドだ」
カズマの目がキラリと輝く。「1千万!? それなら罰金払ってもお釣りがくるぜ!」
だが、リリアの表情は硬い。彼女はカズマに背を向け、小声で呟く。
「闇の司祭……父さんの右腕だ。カズマ、アンタなら……」
ギルドを出た後、リリアはカズマに切り出す。
「なあ、カズマ。このクエスト、受けるなら本気でやってくれ。私には……倒さなきゃいけない理由がある」
カズマはニヤリと笑い、ガトリングを肩に担ぐ。
「理由なんざ知らねえけど、お前が本気なら俺も本気だ。燃やしてやるぜ、魔王軍だろうがなんだろうが!」
だが、二人の背後で、ミラの影が再び揺らめく。彼女の手に光る短剣が、カズマのガトリングを狙っていた――。