2.Fire
1. 街中での大騒動
カズマ・ヒノカミは、転生してから一週間が経った異世界の街「ルナリス」で、冒険者ギルドのカウンターに突っ伏していた。目の前には、ギルドの受付嬢が困惑顔で書類を突きつけている。
「カズマさん、だから言ったでしょ! 街の近くで『インフェルノ・ガトリング』を撃つのは禁止! 昨日の森火事、完全にあなたのせいですよ!」
「いや、あれはゴブリンの群れが悪いんだって! 俺が撃たなきゃ、街が襲われてたかもしれないじゃん!」
カズマはムスッとしながら反論するが、受付嬢の冷たい視線に気まずく視線を逸らす。
「で、罰金は……?」
「50万ゴールド。払えないなら、強制クエストで働いてもらいます!」
かくして、カズマは「魔獣の森」の討伐クエストに強制参加させられた。報酬はそこそこだが、失敗すればギルドからの追放もあり得る。
「チッ、めんどくせえな……まぁ、火球で一掃すりゃすぐ終わるか!」
カズマは肩に担いだインフェルノ・ガトリングを愛おしそうに撫でながら、森へと向かった。
2. 炎の剣士、リリア登場
森の奥、巨大な魔獣「ブラックウルフ」が咆哮を上げる中、カズマはすでに戦闘モード全開だった。
「ハハッ! まとめて燃やしてやるぜ! マシンガンファイアボール、フルバースト!」
ガトリングの銃口から無数の火球が放たれ、ブラックウルフの群れを一瞬で炭の山に変える。木々が燃え、地面が焦げるが、カズマはそんなことお構いなし。
「よーし、次はあのデカい奴だな!」
だが、その時――。
「待て、そいつは私の獲物だ!」
鋭い声が響き、銀髪をなびかせた少女が現れた。彼女の名はリリア・ブレイズ。炎を纏った長剣を手に、ブラックウルフの親玉に一閃で切りかかる。剣から迸る炎が魔獣の毛皮を焼き、鮮やかな剣技で敵を翻弄する。
「すっげえ! なんだこの女、めっちゃ強いじゃん!」
カズマは目を輝かせ、思わずガトリングを下ろして見入ってしまう。
リリアは一瞬で親玉を仕留めると、剣を鞘に収め、カズマに鋭い視線を向けた。
「アンタ、噂の『火球乱射男』だろ? 派手な武器だな。気に入ったぜ!」
「火球乱射男ってなんだよ! 俺はカズマ・ヒノカミ、よろしくな! で、お前、めっちゃカッコよかったぞ! その剣、魔法か?」
「フン、炎の剣術はブレイズ家代々の技さ。で、アンタ、こんな火力バカな武器持ってるのに、なんで一人でウロウロしてんの?」
カズマは苦笑いしながら頭を掻く。「いや、なんか……俺の火球、味方までビビらせちゃってさ。仲間ができないんだよ」
リリアはニヤリと笑う。「なら、私と組まねえ? アンタの火力と私の剣、絶対最強だろ!」
3. 初の共同戦闘
意気投合した二人は、さっそく次のクエストに挑むことに。今回の標的は、森の奥に潜む「ダークトレント」。樹齢千年を超える魔樹で、触手を振り回し、毒霧を撒き散らす厄介な敵だ。
「カズマ、正面は私が引きつける! アンタはあのデカブツの根元を焼き尽くしな!」
「了解! フルパワーで行くぜ!」
リリアがトレントの触手を炎の剣で切り刻む中、カズマはガトリングを構え、魔力を最大限に注入。
「マシンガンファイアボール、超絶バースト!」
火球の嵐がトレントの根元を直撃。爆音と共に木々が倒れ、地面が溶岩のように赤く輝く。リリアは触手を切りながら、叫ぶ。
「バカ! 火力上げすぎ! 私まで巻き込む気!?」
「ハハ、悪い悪い! ついノっちゃって!」
だが、二人の連携は完璧だった。リリアの剣がトレントの動きを封じ、カズマの火球が本体を焼き尽くす。わずか30秒で、ダークトレントは灰の山と化した。
戦闘後、息を切らしながらリリアが笑う。
「アンタ、ほんとバカだけど……悪くねえな。このコンビ、気に入ったぜ!」
カズマもニヤリと返す。「お前もな、リリア。なんか、初めて仲間って感じがするぜ!」
4. リリアの秘密と新たな火種
クエストを終え、ルナリスの街に戻った二人。ギルドで報酬を受け取り、酒場で乾杯する。
「なあ、カズマ。アンタ、なんでそんなバカ火力の武器持ってるのに、魔王軍に挑まねえの?」
リリアの唐突な質問に、カズマはビールを吹き出しそうになる。
「魔王軍? いや、別に興味ねえよ。燃やす価値あるなら考えるけどさ」
リリアの目が一瞬、鋭く光る。「ふーん……まぁ、いいか。今はアンタと無双する方が楽しいしな!」
だが、カズマはその視線に何かを感じ取る。リリアの言葉には、どこか裏があるような――。
その夜、カズマが宿で寝ていると、インフェルノ・ガトリングが微かに赤く脈動する。まるで何かを警告するかのように。
「なんだこれ……? まさか、この武器、ただのチート装備じゃねえのか?」
一方、街の外れでリリアは一人、月を見上げていた。彼女の手には、魔王の紋章が刻まれたペンダント。
「カズマ・ヒノカミ……アンタなら、父さんを倒せるかもしれないな……」