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世界と戦って勝つ!

 

「速い!」


 醸は思わず叫んでいた。


 1964年10月1日、世界に誇る新幹線が開通した。

 醸と咲と音は目の前を通過した新幹線の速さに興奮していた。


「凄いね!」


 咲の言葉に醸は大きく頷いた。


「乗ってみたいね」


 醸はもっと大きく頷いた。視線の先には一気に小さくなった新幹線の後姿があった。その姿が視界から消えた時、3人は目を合わせてガッツポーズを作った。誇らしくて仕方がなかった。


 当然である。戦争で負けた日本人が世界で初めての超高速鉄道を完成させたのだ。日本人が世界で一番の物を作り上げたのだ。これ以上の喜びは考えられなかった。


 もちろんそれは3人だけに限ったことではなかった。日本中が興奮に包まれていた。特に若者に与えた刺激は半端なかった。新たな時代を切り開こうとする熱い想いが連鎖反応を起こし、今まさにマグマとなって日本全体を揺り動かそうとしていた。


 そんな中、新幹線開通から9日後の10月10日、待ちに待った世紀の祭典が始まった。


 第18回オリンピック競技大会。


 日本初、いや、アジア初のオリンピックに90を超える国から、正に世界各地から51,000名を超える選手が日本にやって来たのだ。

 醸は咲や音と共にテレビにかじりついた。そして、日本人選手の活躍に目を見張った。


 男子団体総合で表彰台の一番上に立っただけでなく、遠藤幸雄が個人総合で金メダルを取った体操、彼が着地を決める度に両手を突き上げた。


 5階級で金メダルを獲得した男子レスリング、余りの強さに目を見張った。


 3階級で金メダルを獲得した男子柔道、勝つ宿命を背負った選手たちの使命感が伝わってきて感動した。


 三宅義信が金メダルを獲得した男子ウエイトリフティング、血管を浮き上がらせてバーベルを頭上に持ち上げた迫力に圧倒された。


 そして、外国人の強烈なアタックを見事な回転レシーブで凌いでチームワークで金メダルを獲得した女子バレーボール、東洋の魔女というニックネームにさもありなんと頷いた。


 テレビにかじりついた3人は各選手の活躍に声を枯らして応援した。表彰式で日本の国旗が掲揚されるたびに感動で胸がいっぱいになった。大活躍する選手たちを見て、より広い世界へ羽ばたく夢が広がった。やればできるんだ! と自分たちに言い聞かせた。その想いは一つの言葉となって3人の心を揺さぶった。


 世界と戦って勝つ!


 醸と咲と音の魂の叫びが未来へ向かって放たれた。



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