4話
目が覚めると医務室のベッドで横になっていた。
起き上がろうとするととてつもない痛みに襲われる。
そうだった、さっきユウナと戦ってたんだ。
「起きたか、カイ」
そこにいたのは修行の面倒を見てくれていたリョウだった。
本を読んで時間を潰していたらしく栞を挟み本を閉じると話し始める。
「なかなかいい感じに戦えてたじゃないか」
「まあ、負けちゃいましたけど」
「そう卑下するな、リーダーもアキラも褒めてたぞ」
「本当ですか、それは良かったです」
「なんか感覚は掴めたか?」
「まだはっきりとした事は分かりませんが、以前よりはやれる気がします」
「そうか、カイに1つ忠告したいことがある」
「忠告?」
「ああ、今回カイが倒れたのはダメージがあったていうのあるがギフトの使いすぎも関係している、ユウナに蹴散らされる事前提で大量に能力使っただろ」
「はい・・・」
「個人差はあるがどのくらい自分の能力を使えるかは把握しておくことだ」
確かに一度にここまで能力を使ったのは初めての経験であった。
「今後気をつけます」
「分かればいい、説教はこのくらいにして仕事の話だ、傷はまだ痛むか?」
「起きた時は驚きましたが今日休めば完治すると思います」
「そうか、リーダーが呼んでいる、少ししたら部屋に来い」
そう告げるとリョウは部屋に戻って行った。
リーダーの部屋に行くとそこにはすでに召集されていたユウナとサクラがいた。
「遅い!新人が1番の遅刻ってどうゆうこと?」
カイは軽く謝罪をしすぐにメンバーに並んだ。
ユウナはカイをボコボコにした事を忘れてしまっているのだろう。
「よく集まってくれた、今回はこの3人で任務をこなしてもらう」
前に映し出されたスクリーンには任務の全容が映し出されていた。
「今回は古代遺跡の調査を行ってもらう、遺跡の中の守護者であるゴーレムが活動を再開したという事だからそいつの鎮圧を計ってくれ」
「「了解」」
サクラとユウナの息のあった返事に出遅れる。
「了解です」
「カイは初任務だが意気込みはどうだ?」
「頑張ります!」
威勢の良い返答をする。
なにより力を試せる事にワクワクが止まらなかった。
「それでは健闘を祈る」
今度は全員息を合わせ敬礼する。
〜ファレスチナ山脈〜
標高1000m級の山々が並ぶこの山脈には飛行系の魔獣が多くいるが道中はユウナのおかげで安全に進めていた。
飛んでくる魔獣をどんどん瞬殺するその様を見て味方である事に安堵する。
サクラのギフト花乱舞は本人曰くサポート寄りの性能らしく、目眩しや陽動に使うのが主な使い方らしい。
そうこう話しているうちに遺跡へ到着する。
扉を入るとそこには巨大な一個の岩から出来ているであろうゴーレムがいた。
「シンニュウシャ カクニン」
その声と共に目が赤くなり戦闘態勢に入る。
目から赤いレーザーが飛んでくるがサクラのギフトにより守られる。
ユウナも光線により攻撃するがダメージはなさそうであった。
「堅いわね」
「コアを破壊しないとダメね」
「とりあえず牽制しながらコアを探ります、サポートお願いします」
「分かったわ」
「僕は?」
「自分で考えなさい」
そうゆうと我先に突っ込んでいくユウナ。
敵の攻撃は全てサクラに任せるつもりだろう。
厚い信頼が見て取れる。
次々と光線を放つユウナだがゴーレムのボディーが少し焦げる程度で一切ダメージは入っていない。
これほどギフトを連発してもばてないユウナは一体どれだけの鍛錬をこなしてきたか見て取れる。
(僕も負けてられない)
ゴーレムが大きく腕を振るがユウナは光を凝縮し目の前にガードを張る、カイは周りをウロチョロしてコアを探すが見つけられずにいた。
「そうだ」
カイはユウナの光線を四方八方から同時に撃つように幻影を作り出した。ゴーレムはその幻影を本物と勘違いし、コアのある頭頂部をガードする。
「コアは脳天だ!」
「よくやったわ」
そのまま空中へと移動しレーザーを撃つと見事にコアを貫く。
ゴーレムは崩れ去っていく。
「ふう、無事任務達成ね」
「ユウナもカイもよくやりましたね」
「いやあ、それほどでも・・・」
任務達成で浮かれている中奥から奇妙な足音が聴こえてくる。
全身に凍りつく感覚が襲う。
「いや、いや、お見事、ゴーレムを見事倒すなんて、いやなんせ私1人だと手を焼いていましてね」
「あんた何者?」
身構える3人。
「申し遅れました、私の名前はメフィスト、災厄の王の手先の1人ですよ」
不気味に笑うメフィストに恐怖を感じるカイ。