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聖なる言霊を小言と馬鹿にされ婚約破棄されましたが、普段通りに仕事していたら辺境伯様に溺愛されています  作者: 青空あかな


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第31話:再びの日常

「とうとう王様もポーラちゃんの力を知るところになったんだね。友人として私も誇らしいよ」

「ポーラさんほど素晴らしい力の持ち主は、王国広しと言えども二人といないでしょう」

『“聖女”としても認められるんだろ? 表彰式にはぜひ参加したいな』

「あたしは一目見て、ポーラが特別な人間だってわかったね。そしたらどうだい。予想を遥かに超えたじゃないか」


 私を褒めては納得した様子でうなずくエヴァちゃんたち四人。

 王様の病気を治してから三日後。

 みんなに王宮での出来事を話す日々を送っている。

 今もまた、花壇の水やりをしながらせがまれていた。


「もう何度も話したのに……。これでたしか七回目……」

「『あと一回で終わりにするからっ!』」


 みんな、あと一回と言いながら何度も頼むのであった。

 仕方がないので、また話すことにする。

 目を開けるとそこは王宮で……、と話し始めたとき、“久遠の樹”の方角からルイ様がやってこられた。

 エヴァちゃんとアレン君、私はお喋りを止めて姿勢を正したけど、ガルシオさんとマルグリットさんは楽しそうに話すばかりだ。


〔ガルシオ、マルグリット。ポーラたちの仕事の邪魔をしていないだろうな。喋って仕事を邪魔してばかりじゃダメだぞ〕

『こ、こらっ、邪魔者扱いするんじゃないっ』

「ガルシオはともかく、あたしがポーラたちに迷惑をかけるわけがないだろうっ」

『俺はともかく、ってどういう意味だっ』


 ガルシオさんとマルグリットさんは軽く言い合いを始めるも、これもいつもの光景であった。

 本当に怒っているわけじゃないとわかるので、むしろ微笑ましいくらいだ。

 そんな二人を横目に見ながら、ルイ様が大変興味深い魔法文字を書かれた。


〔今は流星群が見える時期だから、今夜あたりみんなで見ようと思うがどうだ?〕

『ああ、もうそんな時期か。時が過ぎるのは早いな』

「「辺境伯、ぜひ見たいです!」」

「良いアイデアだよ。今年は何を祈ろうかねぇ」


 ルイ様の言葉に、みんなは楽しそうに話す。

 オリオール家にいたときは流星群なんて見られなかったから、お話を聞いただけでワクワクしてしまった。


「ルイ様、流星群が見えるのですか?」

〔そういえば、君は“ロコルル”を訪れたのが初めてだったな。毎年この時期、“ロコルル”では流星群が見られるんだ。私も毎年楽しみにしている〕

『夜空が星でいっぱいになるくらい、流れ星が落ちるんだぞ』

「へぇ~……想像するだけで楽しみです。私、流星群なんて見たことがありませんから」


 頭の中で流れ星が降り注ぐ様子を思い浮かべる。

 夜空に延びる幾筋もの輝く白い線……。

 そんな光景を間近に見たら、目を奪われてしまうだろう。


〔ポーラは見たことがないのか。なら、なおさらみんなで見よう。あの丘の辺りがいいと思う〕


 ルイ様は西側の一角を指す。

 お庭の西側を進むと緩やかな丘があり、頂上付近には吹き抜けのおしゃれな東屋が建っていた。


『いいじゃないか。広々としているから、寝っ転がるとよく見れるよな』

〔しかし、今日は朝から曇りだな。夜晴れてくれるとありがたいのだが〕


 ルイ様は心配そうな表情を浮かべ、空を見上げる。

 最近はずっと晴れていたのに、ここ二日ほどは曇りや雨だった。

 夜まで曇りだと、せっかく流星群が流れても見えないだろう。

 ルイ様のためにも晴れてほしい……。

 そう思うと、やはりあれの出番がありそうだった。


「もしなんでしたら、私の【言霊】スキルで雲をどけましょうか? 天気に対して使うのは初めてですが、やってみる価値はあると思います」


 今まで、晴れにしてほしいとか、雨にしてほしいと言った依頼は受けたことがなかった。

 でも、やってみないと分からない。

 どんなに分厚い雲でも晴れにしてしまう気概だった。


〔ありがとう。しかし、大丈夫だ。私が魔法で雲を流せばいい。君は最近ずっと頑張ってくれていたからな。少し休みなさい〕

「そうでございますか。私は全然平気ですが」

〔いや、私がやりたいんだ〕


 私は一人で気合を入れていたけど、ルイ様が魔法を使ってくれることで話はまとまった。

 夜が楽しみだなぁ。

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