表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集め(恋愛もの以外)

クール義母から「たっくん来襲温泉デートしましょう」と誤爆ラインが来た

なろうラジオ参加作品です。

 聡子『たっくん来襲温泉デートしましょう』


 麻衣まいはラインを見た途端、飲んでいたブラックコーヒーを吹き出した。


 発信者の聡子は義母だ。

 そしてたっくんはおそらく、義父・辰之たつゆきのこと。


(義実家でお会いしたときは辰之さん、って呼んでいたのに!!)


 嫁に誤爆したことに気づいていないのか、メッセージは

『新古んりょこうの。とき依頼ね』と続く。


 使い慣れていないから誤変換もひどい。




 流行りものが苦手な義母・聡子は、ずっとガラケ愛用者だった。

 先週、7年使ったガラケが壊れてしまったため、スマホデビューを果たしたばかりだ。


 義母はメールも苦手な人だったから、連絡はもっぱら電話だった。麻衣と夫は連絡を取りやすくなるから、喜んでラインアカウントを教えた。


(これは教えてあげたほうがいいのかな。いや、でも、嫁に誤送信していたなんて恥ずかしすぎて泣きたくなるんじゃ……。でもでも、誤送信に気づいていないままで、お義父さんからの返信を待っているかもしれないし)


 この様子だと、たぶん取り消しや電話機能の使い方もわからなそう。


 悩んだ末、麻衣は義実家に足を運んだ。


「お義母さん、間違えて私のところにメッセージがきています」


 メッセージ欄を表示させて説明すると、義母は両手で顔をおおって崩れ落ちた。


「あらやだ、わたしったら、麻衣さんに送ってしまっていたのね。ごめんなさい」



 そこにいたのはいつもの、ピンと背筋を伸ばした口数少ない義母ではなく、夫を愛する一人の奥様だった。


「私が使い方を教えます。お義父さんへ、メッセージを送り直しましょう。絶対喜びますよ!」

「そ、そうかしら。送ってから、年甲斐もない恥ずかしいって言われるかと思って、画面を下にしていたの」


 あまり会話もなくて怖い人だと勝手に思っていただけで、義母はこんなに可愛らしい人だった。


 しっかり使い方をレクチャーして、緊張しながら送信ボタンを押す。


 何分もしないうちに既読がつく。


 辰之『せっかくの休みだし、いいかもしれないな』


 義母は画面に向かって何度もうなずいて、「行きましょう。ええ、ええ!」と言う。




 そして誤送信事件から10日。

 義母からメッセージが届いた。


 聡子『毎三オンセンおみやげ狩ってきたから、盛っていきます』


 麻衣は飲んでいたコーヒーが気管に入ってむせた。


 義母がスマホを使いこなせるようになるまで、まだまだ時間がかかりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] お義母さん可愛すぎます!!! 萌えーー!! [一言] 一方うちの義母は……(そっと遠くをみる)
[良い点] お義母様、可愛い! たっくんw
[良い点] お義母さまがめちゃくちゃ可愛らしいのですが! うちの母も変換ミスしょっちゅうあります(笑) 私もやります^^; お土産、たんまり盛ってかえってほしいですv
2023/12/16 20:25 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ