ある出会い(人はゴミではありません)
私は「小説を書こう!」と思い立ったときから、絶対に……いや、極力書かないように決めている表現があります。それは……
「人が虫けらのように殺されるシーン」と
「暴力で解決するシーン」です。
そう考えるようになったのは、ある「出会い」からです。
身延町に「身延どんぶり街道」というグルメ企画があり、以前「ゆるキャン△」とのコラボで対象の丼物を食べると景品がもらえるイベントがあったので、私はとあるお店に行きました。
そのお店のご主人は見た目私と同世代くらいの男性で、どうやらゆるキャン△を使った町おこしに積極的なようです。店内には単行本が全巻置いてあり、若い従業員にも読むように勧めていました。
私が地元民で、ゆるキャン△に登場する(山梨県内の)背景……つまり聖地の場所は全てわかると話したら、ご主人とゆるキャン△の話で盛り上がりました。
すると突然、ご主人がこんなことを言い出したのです。
「ボクはねぇ、本当は漫画が大っ嫌いだったんですよ。漫画って人を殺したり暴力的なシーンばかりじゃないですか……でもね、初めてゆるキャン△を読んで、こういう暴力的な表現がない漫画もあるんだなって……それで好きになりましたよ」
昔の話でうろ覚えなので、実際のセリフと一字一句同じではありませんが……こんなニュアンスだったと思います。
この言葉を聞いて私はハッとしました。
ゆるキャン△といえば「まんがタイムきらら」……いわゆる「きらら系」です。日常系、萌え系……美少女動物園と揶揄されることもありますよね。正直、いい歳こいたおっさん2人がきらら系マンガで盛り上がるのは異様な光景ですが……そうか、そういう見方もあるのかと考えさせられました。
確かに、巷で大人気のマンガやアニメといえば、愛や正義や友情といった大義名分のもとで殴り合いや殺し合いをするものが多いです。幼児が初めて出会うアニメですら最後はパンチでバイバイ●ーン……暴力によって解決していますよね。
まぁでも、このご主人のような考え方は少数派でしょう。実際のところ暴力シーンに需要があるから視聴率や売上げがいいわけですし……でも……
私は商業作家ではありませんしそもそもなれません。なのでアマチュアの私は、こういう少数派のために小説を書いていこうと決めました。
……と言いつつ、処女作「らのべのてんかい」では最後に主人公が車にはねられて死んでしまいますけどね……説得力ねぇなぁ。
ここまで読んでいただき本当に申し訳ない。
次回は初めての連載作品「赤坂君と御勅使さん」の話です。