素人の50代おっさんには「小説家になろう」が異世界だ!
私は小説が投稿できるサイトを探しました。そして「小説家になろう」というサイトを見つけ、すぐにユーザ登録しました。
小説投稿サイトは他にも色々あるみたいですが、なぜ私が「小説家になろう」を選んだのか? それは……
――検索で一番上に来たから。
本当にそれだけなんです! 私は小説の「せ」の字も知らない素人です。各サイトの特徴、そして選び方などわかりません。ただ書いて発表するだけ……賞に応募するつもりもないので、検索で真っ先に出てきたこのサイトでまぁいいや! という軽いノリでユーザ登録しただけです。
ですから、当時の私はこのサイトの特徴を全く知りませんでした。
もちろん、「なろう系」などという言葉があるなんて知る由もありません。
※※※※※※※
ユーザ登録後、すぐに違和感を覚えました。私はこのサイトにどのような小説が投稿されているのか探してみたのですが……
「異世界で……」
「異世界に行って……」
「……の異世界生活」
――え?
「転生したら……」
「チート能力が……」
「俺TUEEEE……」
――は? TUEEEE? 火曜日がバグったのか?
「悪役令嬢が……」
「VRMMOで……」
――えっ、何なんだ?
この……同じような言葉を並べ替えただけの、まるで校歌の歌詞みたいに似たり寄ったりのタイトルは?
――しかも長ぇ。
昭和生まれのおっさんには全て同じ内容に見えるのだが……もしかして同じ物語をタイトルだけ変えて使いまわしているのか?
ていうか……VRMMOって何? そんな言葉、俺SHIRANEEEE!
生まれて初めて聞いた! こんな意味不明の言葉が何の説明もなく当たり前のように使われている世界……。
――オレにとって「異世界」は、この「小説家になろう」だ!
完全に場違いだ! 登録するサイト間違えた! こんなところで異世界もゲームも興味のない53歳のおっさんが地元を舞台にした小説を細々と書いて、果たして読んでもらえるのか? いくら「自己満足」とはいえ、誰ひとり読んでもらえないのはさすがにキツいぞ!
あっでも……よく調べてみると異世界モノ以外の小説もある。おぉ! 何か適当に探していたら「薬屋のひとりごと」があるではないか! これはマンガを読んで面白いと思った話だ……ん? ブックマーク? よくわからないけど、とりあえずやってみよう!
こうして……おっさん冒険者の無謀ともいえる旅は、ブックマークという項目を操作することで幕を開けたのでした。
ここまで読んでいただき本当に申し訳ない。
次回は、完全アウェーの中どのような小説を書こうか悩む話です。