世界を分けた運命のガラガラ
ミーンミンミンミン
8月16日
真夏真っ只中、蝉が今日も鳴いている。
コンクリートに埋まったマンホールを見て、目玉焼きが出来そうだな。と思うようになってくる暑さだ。
いつもと変わらない暑い夏だった。
「海斗ーおつかい行きなさーい」
母の声が聞こえる。相変わらずの高いよく響く声だ
「おう、ちょい待ってて、もうすぐ書き終わるから。」
自分は最近日記を書き始めるようになった。日記といってもただの夏休みの課題だ
海斗は重い腰を上げ玄関を出る。
「いってきま...」
「ちょっとまち!」
いつものような重い動きでなく猫のような野生を感じる素早い動きで母が現れた。
「先日、商店街のくじ引き券貰ったの!何でも一等は異世界旅行券なんだってさ!」
母はとても興奮していてお腹の脂肪がバウンドをやめなかった。
「まあ、あんたのくじ運じゃあんま期待は出来ないけどねー」
「余計なお世話だよ、これだったら三等のダイエット器具の方がいいんじゃね。」
皮肉混じりに海斗は言った
「そっちこそ余計なお世話だ!」
母はまた腹を揺らす
「じゃあ行ってくるね、昼は素麺でもいいからな!」
「はいよ。」
この時海斗は知らなかった、これほどまでに運の無い男だとは
キーッ
海斗は商店街の駐輪場にチャリを停めた
買い物も済ませたしくじ引きでもやるか。
海斗は素直にくじ引きの列に並ぶ。
「にしてもこんなボロ商店街で本当に異世界旅行券なんて当たるのかよ。年に百組限定だぞ、そんなんがこんな所に...」
カランカランカラン
甲高い鐘の音が商店街中に響き渡る。
「大当たり!大当たり!」
野太い声でおっちゃんが叫ぶ
周りの人たちはみな驚きながらこちらを見ている。
「えっ」
海斗は動揺して言葉にならない
「お、大当たりって何が、ま、まさか一等?」
「そのまさか一等だよあんちゃん!」
無精髭の生えたおっちゃんが海斗の肩を掴み見つめる。
キーッ
海斗は大急ぎで家の隅にチャリを停めた
「おい!母っ!帰ったよ!」
海斗は玄関に靴を投げ家に駆け込む。
「おかえ...」
海斗は一等の券をみせる
「りーー!あ、あんた当てたの一等?」
「おん!あたったんよ異世界旅行券が!」
8月17日
まさかの異世界旅行券が当たる、家族と行きたい気持ちもあるが親は友達と行けと言うので友達と行くことにした。
メンバーは同じ星図西高校2年4組の千葉、新村、熊倉、自分で行くことにした。1週間後が楽しみ!
「おはよーう」
海斗は眠そうな顔で階段を降りる
「おっす、今日はだいぶ早起きだな、やっぱり旅行が楽しみなのか。」
父は朝のコーヒを啜りながら問いかける。
「当たり前だろ!俺がどんだけアニメや漫画を読んできたと思ってんだよ!やっぱ今日のために生きてきたんだなー」
「気をつけて行ってこいよ、ちゃんと宿題も忘れずにな。」
父は後づけ台詞のように宿題の確認をした
「あら、おはよう、ちゃんと準備はした?歯ブラシとパンツ忘れないでよね。」
母は相変わらず心配性だった。
ピーンポーン
インターホンが鳴る。
「こんにちはー!!」
色々な音が混じって不快なハーモニーが聞こえる
「まだおはようだろ。」
海斗は嬉しそうにツッコミをした
「さあ、行こうぜ俺たちの異世界旅行!」
千葉は海斗に手を差し出す、その顔は何よりも輝いて見えた。
この時はまだ誰も知らなかった。もう家族には会えない悲しみと親友を失う絶望を
「まだちょっと早いけど行くかー!」
海斗は玄関から飛び出る
「あっいってきまーす」
海斗は笑顔で振り返った
「おう!気をつけろよ!」
親は笑顔だった最後まで自分たちが見えなくなるまで
8月24日2時30分
沢山の重機械の起動音が響くなか2人の男が話し合う。
「元帥、準備が整いました。予定どうり8月24日午後3時00分より作戦を実行します。」
「ああ、これで異世界と現世どちらが上か決まるな。」
「はい、一応確認しますが、異世界行きの旅行船が出発しました。本当にいいのでしょうか?」
背の高い男は恐る恐る聞く。
「何度言わせる、正義に犠牲は付き物だ100組には申し訳ないが地獄の旅行になるだろうな。」
彼の目は冷酷そのもの、現世人を捨てるなんてことに感情はなかった。
「そろそろ、時間です。元帥これを」
背の高い男は厳重な梱包のスイッチを渡す。
「このスイッチを押せばA175は発射され、予定どうり5分後に異世界都市コンセルトは消し飛びます。その後我が軍が異世界に突...」
カチッッッ
スイッチの押し込み音が暗い部屋に響く。
男はスイッチを躊躇いなく押した。
「元帥...!?」
「説明が長い。そんなこと俺の頭に入ってないとでも?」
「いえ、そんなこと...!?」
バキョンンンッッ
男は引き金を引いた。
「く、くわっっ...!??!?元帥...!???」
パンッパンッ
男が手を叩くと
影から美しい女性が姿をみせた。
「コイツの処分とチョコレイトちょーだい。」
「わかりました。」
女は背の高い男を持ち上げ素早く部屋から姿を消した。
「さあ、どう出る?先手は打たせて貰った。次はそちらの番です。」
男の独り言が部屋に響いた。
キャラクタープロフィール
幕田海斗
17歳
性別男性
誕生日6月6日
身長176cm
商店街で当たった異世界旅行券を使い、友達3人を連れて異世界に出発した。
黒の短パンに白のシャツを合わせる無個性すぎて逆に個性があるような服を着ている。
髪型はツーブロックで短髪、ここもまた無個性だ。
唯一の個性は髪の色素が薄くほぼ完璧な茶髪になっている。
元帥
歳???
性別男
誕生日???
身長234cm
ラスクコット軍の元帥、好きな食べ物はチョコレイト。
2mの高身長に黒のスーツが良く似合う。
白髪にオールバックというイカつい見た目をしている。
まだまだ謎が多き人物