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ss 三者三様の葛藤

「…っと」

 シャオウロウの背に乗ったフィスフリークがバランスを崩す。彼の背は不安定で、掴むところなど無いのだから当然と言えば当然だ。

 一瞬戸惑いを感じながら、しかし諦めて由那は彼に言う。

「とりあえず、私の腰に手をまわしてください」

「しかし、それは…」

「今は非常時です。ここで問答をしている場合ではありません」

 常時ならば、由那だってそれは如何なものかと考える。でも、今はそんな事を考えている余裕などない。

 フィスフリークの方も初めは戸惑いながら、しかし由那の叱咤の声におずおずとその手を腰にまわす。ただ位置を逆にすればいいだけだが、今はそれすらも惜しい。

 ぎゅっと、意外と遠慮なく、自分とそう変わらない細身の腕のどこにそんな力があるのだと思うほどにしっかりと力の込められた腕が由那の腰にまわされる。

「シャオ、お願い!」

 少しばかり上気した頬を隠すようにしながら、由那はシャオウロウに指示を出す。

『――…承知』

 少しと言わず、心底不機嫌そうなシャオウロウの了承の声。

 由那以外の人間を背に乗せていることも、その人物が由那に触れていることにも、不愉快なことこの上ない。むろん、今から目指す場所から発せられている殺気の主にも。

「まったく。ギールのばか…」

 背に感じる温もりに落ち着かない気持ちになりながら、由那は塔のてっぺんを睨み据えた。


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