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ヒューマンヘイトワンダーランド  作者: L
三章 多眼竜討伐戦
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十五話「戦争への一歩」

豊穣国の一室。そこにイグニスと他の者たちは集まっていた。

再び真剣な空気がそこには満たされており

何人かは真剣な顔をしていた。


「イグニス。話を聞こうか」

「法皇国のか……」

「そうだ」


骨折りは、イグニスに質問する。

今回の話の内容は、法皇国によるものだった。

法皇国の来訪は、タイミング関係なく都合のわるいものだ。


「今回の件、イグニスは関わっていないな」


プラードは、イグニスに質問をする。

そこには、疑惑はないが気迫のこもった声であった。

やはりそこにはアーティオが深くかかわっているからだろう。

一度は受け入れた相手とはいえ、しっかりと疑う心を持っていた。


イグニスは、その質問に同意する。

実際、法皇国の使者がこの国に来るのは想定外だった。

もし容姿が以前と変わりがなかったらきっとすぐにイグニスは拘束されていただろう。

イグニスは、内心法皇国の者がこの国に来ていたことに焦っていた。


「それはそうだと言わせてもらうよ」

「まぁだろうな」

「わらわもイグニスは嘘はついてないと感じた」


イグニスの発言にアーティオは同意する。

骨折りも、イグニスのことを全く疑っていない様子であった。


今回、法皇国の二人はイグニスのことを探しているような口ぶりだった。

イグニスと、あの二人が口裏を合わせている可能性もあるが

白髪の女性の口調はそういったものではなかった。

あの女性は心にイグニスのことを心配していた。

アーティオはイグニスに質問をする。


「ひとつ、聞こう。今回この国に来た者を知っているか?」

「二人も俺と同じ【天使】だ」


暗い顔で、イグニスはそう話す。

その顔は、思い出したくない過去を回想しているようでもあった。

骨折りが、イグニスに問う。


「名前は?」

「白髪の女性は、ミカエル。細身の男は、サリエル。……そしてミカエルは俺の師匠だった」

「なるほど……」

「白髪の女性が気にかけていたのはそんな理由があったのだな」


プラードは、白髪の女性の態度に対して納得した。

サリエルと呼ばれる男の言葉遣いに対して、

ミカエルの発言の仕方はイグニスのことを深く心配しているようでもあった。

あれによって、イグニスと法皇国はつながっていないと自身の疑惑を

晴らすことができた。

しかしそうなると、ミカエルとサリエルの態度の差が気になる。


「サリエルとはどんな関係だった?」

「俺はあまり話しかけたことがなかったな……。

なにかあっちは俺のことをきにくわなかったような気がする」

「天使といっても関わりがないものがいるんだな」

「基本的には組み合わせで任務を行う。俺はサリエルのことを詳しくしらない」


どうやら、イグニスと深い関係を持っているのはミカエルだけのようだ。

彼女とミカエルがどこまでの仲だったかは知らないが、

法皇国と豊穣国で軋轢が生まれた今現在。

二人を関わらせるわけにはいかない。

イグニスはミカエルに対して現在どんな感情を抱いているのだろうか。

ペトラが、イグニスに対し質問をする。


「天使の戦闘能力は、君と同等だと考えていいのかな?

流石に天使の全員が【骨折り】並みだと戦力的にきつすぎる」

「いや、なにも戦闘能力にたけているのが【天使】というわけではないよ。

法皇国が保持するアンデットに対する手段だと考えてくれればいい。

骨折り並みに強い可能性があるとすればそれはミカエル。俺の師匠一人だけだ」

「なるほど、なら敵対時は骨折りに任せるのがよさそうだな」

「俺は何でもいいよ。ただ今は法皇国より考えるべきことがあるんじゃないか」

「ああ、獣国のことだな」


プラードは、骨折りの言葉に反応した。

前回は、プラードは獣王国の話に戸惑っていた。

しかし今は違う。


「プラード。決意は決まったのか?」


骨折りは、プラードにその覚悟を問う。

しかしプラードの目は既に一つの決意でみなぎっていた。

一人の獣人は、愛するものを守るためここに血盟した。


「ああ、私は父を殺す。愚者に身を落とした父を。そのために骨折り。お前の力を貸してくれ」

「いいよ。獣王国には俺も借りができた。お互いのため。獣王国を滅ぼそうじゃないか」


一人の王子は、愛する者のため。

最強の傭兵は、己と敵対した人間の正体を知るため。

お互いの強さを信頼し、握手をした。


「法皇国と完全な敵対をする前に、獣王国とは決着をつけないとこの国は危ういぞ。手段は考えているんだろうな」


骨折りは、プラードに獣王国を攻める手段を問う。


「ああ、獣王国にいる私の元部下に連絡をした。父のいる王宮を攻めるための人材はまだ集まっていないが計画を立てている最中だと思う」

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