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ヒューマンヘイトワンダーランド  作者: L
三章 多眼竜討伐戦
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一話「戦況報告」

獣王国の襲撃による被害は大きかった。


まず、中立国の門周辺は、火薬による爆撃でほぼ壊滅状態であった。

軽傷者複数。重傷者は多数。

また蜥蜴の獣人コ・ゾラによる戦闘により重傷はイグニス、セーリスクの二名。

死亡者はカウェア一名。被害は小さい範囲にとどまったことを確認。


王宮内の、兵士十五人が死亡。

獣人の男性がアンデットに変化。

アンデットは兵士を惨殺したのち【骨折り】によって処理。

また三人の侵入者と骨折りが遭遇。

骨折りとの戦闘により侵入者は撤退。情報は引き出せなかった。

女王との接近は見られなかった。


中立国内の図書館に種族不明の男性が侵入。

行方不明者一名。

重傷者は二名。

王宮研究者ペトラが全身複雑骨折の重態で発見。

魔法による治療行為の末、生命活動の持続を確認。経過観察中。

なぜ王宮研究者がここにいたのかの情報は不明。


その他各地、火薬による砲撃が確認。

被害は最小。

復旧活動により生活は標準レベルまで回復した。



コ・ゾラ、獣王国の戦闘から一週間はたった。

幸いイグニスは、一週間ほどで容体は回復し、 

今では徒歩でも歩けるにはよくなっていた。

中立国の魔法による医療の進歩はすさまじかった。

魔法もなく、体質で医療に頼ることの少ない獣王国と比べると天と地の差である。

流石に部分欠損などは治せないが、命が続いてる限り救うことができるそうだ。

イグニスは、コ・ゾラのとの戦闘が終わったあと気を失ってしまった。

どうやらセーリスクが、近くの医者の所まで連れてきてくれたようだ。


カウェアは、結局死亡してしまった。

その死体は、アンデットにならないように火葬される。

これは地域にとって違うが、中立国は火葬が採用されているようだ。

カウェアの妻には、その死体を見せることができなかった。

酷く損傷した死体は、人体の形を辛うじて保っている程度であった。

それほど獣人の一撃は、重く、命を奪うに足りていた。

軽い葬式の中で、カウェアの顔を見てそれで終わった。

その泣いている姿にはとても声をかけることはできなかった。

平和の象徴である、【中立国】だった過去はもう存在しないのだ。


イグニスは心に傷を負っただろうとセーリスクも心配をしたが

セーリスクは、変わりはなかった。

気を張り詰めているだけで本当は泣きたいんじゃないんじゃないか

と聞いてみたがそれはないと否定された。

それより自分の心配をしてくれといってしまわれた。


マールは攫われた。

理由は、あの訳の分からない予言のせいだろうか。

骨折りには、謝られた。

いつもの彼からは想像もできないぐらいの真剣な声で頭を下げられた。

怪我だらけの体が治って、起きたばかりの頭でそれを聞いてしまったので

最初は夢なんじゃないかと疑った。

しかし時間が立つたびに、それが本当に起きた出来事なんだと明確に

体になじんで行くのが辛かった。

もちろん怒りも沸き上がった。

なぜマールのことを守れなかった。

別の場所に離せなかったんだ。という疑問も。


しかしそれらの思いはすぐに消え去った。

マールをさらった人物と戦闘したペトラは、

自分とは違く絶命寸前まで追い込まれていた。

呼吸を補助する道具や、

生命の延長につながる薬を用いてやっと死亡せずに済んでいるそうだ。

その体は、包帯でぐるぐる巻きにされ生きているので奇跡だった。

骨折りがいうには、ぎりぎりまで

その攫った人物に抵抗した結果こうなったということしかわからないという。

そんな光景を見せられたらいやでも納得するしかない。

誰もが最善の結果を目指してその現実に後悔をする。

もしかしたらなんて言葉はこの世には存在しない。

カウェアは死んでしまった。

マールは攫われた。

どちらとも望んでいない結果だとしても天は否応なしにそれを人々に与えるのだ。

どこまで神は意地悪なのだろうか。


「体調は大丈夫か?」


空を見て、回想に思いを更けているイグニスに骨折りは声をかける。


「ああ、なんとかな。エリーダさんの腕のお陰だよ」


蜥蜴の獣人コ・ゾラにやられた怪我は重大だった。

やはり亜人と獣人の身体能力には差がある。

たとえ骨折りにやられていなく、

万全の状態だったとしてもあの獣人の攻撃は喰らってはいけない一撃だ。

それにあの獣人は、明らかに遊んでいた。

いや戦いという物で心を愉悦に浸してした。

次戦い会うとしても、一筋縄ではいかない相手だろう。

そうイグニスは覚悟をした。


「幸い、医療に関する人材にこれといった被害は出ていない。おかげで死亡者以外はほとんど救うことができた」

「そうだとしてもこの国の医療は凄いな」




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