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ヒューマンヘイトワンダーランド  作者: L
二章 異物の少女
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二十六話「不審と強襲」


声をかけられたマールの前に、一つの絵本が置かれた。

それは「じんるいせんそう」とかかれた戦争に関わる絵本だった。


「だれ?」


マールが振り返るとそこには、黒髪の一人の男性がいた。

その男性は、亜人とも獣人とも言えないような感覚を感じる男性であった。


「やぁ、こんにちは」


男性は軽薄そうな笑顔でマールに近づく。

マールは、その男性の怪しい雰囲気に気おされ返事ができなかった。


「ここ座ってもいい?」


マールは質問されるが、その男性の怪しげな雰囲気に気おされ返事ができなかった。


「まぁ、いいよね。その本読まないの?」


男性はマールの目の前に勝手に座り、本を指さす。


「もしかして読めないのかな?じゃあ僕が読んであげよう」


そういい男性は、「じんるいせんそう」という絵本をよみだした。

「むかし、むかし……」


とある世界。

その世界は、四つの種族によって成り立っていました。

ひとつは、この世の最初に生まれたとされ高い技術を持った「人間」。

ふたつは、獣のような特性を持ちながら、人間と同じような知能を持つ「獣人」。

みっつは、人のような見た目を持ちながら、「魔法」という技術を使う「亜人」。

よっつは、自然を身に纏い扱い、神秘的な見た目をした「妖精」。

この四つの種族は数千年もの間、均衡を保っていました。

しかしある時、状況が変わってしまいます。

人間という一つの種族がほかの種族に戦争を仕掛けたのです。


「だってさ……君はここまで聞いて誰が悪いとおもう?」


マールは少しその男性に恐怖しながらもその物語を聞いていた。

しかし男性は絵本をよむのが明らかに飽きたようで、途中で絵本を放りだした。

質問に対し、マールはあきらかに戸惑う。

人間という存在なんて絵本でしかしらなかったし、存在は知ってはいても触れることは少なかった。故に答えに困ってしまったのだ。


「え……?人間かな」


言葉に詰まりながらも、マールは人間が悪いのではないかという答えを絞り出した。

それが、この世界の常識だ。

人間によってこの世界は、強制的に変化させられ。

その行動は、神の怒りを買うこととなった。

マールもそのことだけは知っていた。

これは人間を題材とした本には必ずといっていいほど書いてあった。


「まぁそうだよね。戦争は明らかに仕掛けた側が悪い。だが逆に考えてごらん人間が仕掛けるしかなかった理由があったとしたら?」

「どういうこと……?」


マールにはその意図がわからない。

なぜこの人物はその質問を聞いてくるのか。

まるで理解ができなかった。

そんなことを思考しているときにアカンサスがかえってきた。


「マール様、遅れました。本をもってきまし……一体だれです?この方は」


当然アカンサスは怪しんだ。

自身の知らない人物がマールと話しているのだから当然だ。

しかし男性は、アカンサスが邪魔して来たことにいら立っているようだ。


「悪いね。いまは授業中なんだ。飛び入り参加は求めてない」


そういった男性は、マールの目の前から消えていた。

いつの間にかアカンサスの後ろに存在していたのだ。


「えっ…‥」


気付いた時には既に遅かった。


「君相手にはもったいない技術だよ。魔術構築【衝撃】」


男性が言葉を発した瞬間、アカンサスは吹き飛ばされ壁にぶつかっていた。

その影響で、アカンサスは血を吐く。

どうやら気絶しているようで起き上がれないようだ。

図書館で悲鳴が上がり、その場の誰もが逃げ惑う。

数十秒もたつうちには、図書館に人はいなくなっていた。




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