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ヒューマンヘイトワンダーランド  作者: L
二章 異物の少女
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十七話「骨折りとの戦闘②」


イグニスは、魔法の攻撃の中である一つの答えが出された。

それは、骨折りが自身のことを試しているということ。

おそらく骨折りは、自分の最大限を出すまで本気をだして殺しにかかるつもりはない。

目的はわからない。ただ骨折りは何を知っているのだ。

つまりイグニスは、骨折りに認められるほどの一撃を与えないといけない。

そのうえでイグニスにとって攻撃を通すには、骨折りの防御力が硬すぎる。

あの鎧に自身の攻撃を通すためには、ある程度の時間が必要なのだった。

しかし魔法以外の武器もしっかり自分には備わっている。


「俺には、まだこれが残っている」


イグニスは、自身の魔法を滲むように体外に排出する。

その魔法は、イグニスの体によじるように纏われていき霧のようにイグニスにへばりつく。

筋肉、肉体に自身の魔法が沁みわたるのが感じられる。

それは自身の身体能力を増加される一つの魔法であった。


「そうだ……それでいい」



一つの答えは骨折りにとって気に入るものだったのだろう。

骨折りはイグニスを軽く褒めた。しかし尚イグニスに剣を向ける。

イグニスは、大地を強く踏みしめ骨折りに跳躍する。

強化されたその身体は先ほどとは違う勢いを見せた。

目に見えぬ速度で振り下ろされた剣を骨折りは受け取めた。


「……お前の剣術どこかでしってるな。おそらくお前の師匠と切りあいをしたことがある」


骨折りはイグニスの剣術にどこか近しいものを感じたようで違和感を示す。

あったことはないが、ただこの剣術を使うものと切りあいをしたことがある。

そんな発言であった。


「それはそうだろうな、骨折り」


イグニスもまた骨折りをとあることで知っているようだ。


「でも今は、全く関係がない。俺と骨折り……お前との真剣勝負だ」



風の魔法を纏ったことによる高速の剣術で、イグニスは骨折りを翻弄する。

それは先ほどとは別次元の早さであった。

常人なら追うだけで精一杯だろう。

その速さに惑わされたのか、骨折りは防戦一方だ。


「なるほど、流石だな。この速度では俺も追いきれない。だがな……」


イグニスの剣を受け止めるだけだった骨折りが動いた。

全部は見極めずとも、ただ一線。それを見極めることに集中していた。

そしてその行動は現実となった。


「そのお前の剣は持つのかな」


攻撃をいれようと飛び込んでいたイグニスに、骨折りは強烈なカウンターをお返しした。

そのカウンターにイグニスは反応できたものの一撃で剣は砕け散ったのだ。


「いい品だが、名作ではない。俺の【骨折り】には文字通り刃がたたないよ」


いつか砕けることは予想していた。

ただこの瞬間狙われたかのように破壊されることは頭のなかになかった。

イグニスは動揺が隠せなかった。こんなに実力の差があるのかと。

世界最強はこんなにも遠いのかと。



「いい意味で実力に見合わない剣をもったな。だがその差が今のお前では致命的だ」


骨折りは、イグニスの実力を称えはするもののどこか寂し気だ。

本来の剣。万全の状態で戦いあいたかった。

そんな本音が見えていた。


「魔法詠唱。破壊せよ炎よ。ぺルド・フランマ」


その暴力的な炎はイグニスを、無惨に襲ったのだった。

イグニスは吹き飛ばされ、訓練場の壁に打ち付けられる。

付近にかけられていた、訓練用の剣が辺りに散らばる。

炎は、先ほど体に纏った風のお陰かそれほど時間が立たずに消えていた。


「見込み違いだったか。お前では実力が足りない。治ったら中立国を出るんだな」


しかしイグニスはまだあきらめていなかった。


「舐めるなよ。俺はまだ戦える」

その目にはまだ闘志が宿っていた。


「ほう……手を抜いたつもりはなかったんだがな」

「舐めるなよっていってんだろ。骨折り……お前は精々魔法の技術は準一流だ。一流にはなれない。あの人には追い付けない。私が憧れたあの人には」

「黒翼……!?」


その背中には黒い羽が生えていたのだ。




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