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ヒューマンヘイトワンダーランド  作者: L
二章 異物の少女
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十五話「誘拐と出会い」

実験的にしばらく文の量を減らします。


イグニスはそんなところで起きた。

まだ朝というには早く、外はまだ薄暗かった。


「随分と熟睡してしまったな」


昨夜は随分と寝るのがはやかったからだろうか、

普段よりずいぶんと早くに起きてしまったようだ。

これでは、シャリテどころかメイドも起きてないことだろう。

隣には、マールが柔和な笑顔で涎を垂らしながら寝ていた。

イグニスが起きたことにも、まったく気づいていないようだった。

そんな時、イグニスがいる部屋のドアが鳴る。


「どうしました?」

「イグニス様……まことに申し訳ないのですが、ご主人様がさらわれました」


イグニスの慌ただしい一日は今だ終わらないようだ。



「アカンサスさん……シャリテさんが攫われたというのはどういうことですか」

「ご主人様がよく寝れるようにと温かい飲みものを持ちに行ったら、ご主人様は既に居なくなっており代わりにこんなものが……」


アカンサスは、イグニスに文字の書いてある紙を渡した。

そこには、

「シャリテ家の主人を貰った。返してほしくば、風の剣士を門番たちの訓練場に連れてこい」

そう書いてあった。


アカンサスは、戸惑いながらも

「風の剣士とはわかりませんが、剣士というのはイグニス様のことだと思い今渡しております。この商会は、知らぬものから中指を立てられることもあります。今回もそのうちの一人だとは私もおもいます。ですが……どうかご主人様をたすけてくれませんか」


イグニスは疑問に思った。

まさか客人がきたその日のうちに誘拐を起こすだろうかと。

もし犯人に目的があるとすればそれは確実に自身だろう。

イグニスは、後悔を胸に残しながらも返答する。


「いいですよ。俺もシャリテさんにはお世話になりました。アカンサスさんはこの家でまっていてください」

「申し訳ないです。マール様はいかがなさいましょうか」

「マールには、俺は散歩に出かけたとでもいっておいて下さい」

「わかりました……どうかご無事にお帰りになられることを祈っています」

「剣をお願いします」

「わかりました、すぐさま取りにいきます」


アカンサスが持ってきた装備品を身に着けイグニスは、シャリテ宅を出ていった。

家を出て庭を通り抜け、路地に入った。

まだ朝にならない深夜とはいえ起きているものがいるかもしれない。

そんなことに配慮しながら、イグニスは多くの住宅が並んでいる道を通り抜け

訓練場へと向かう。


中立国の門は、深夜だと完璧にしまっているようで恐らく防衛用の魔法がかけられていた。

門番もさすがにまだ仕事の時間ではないようだ。

セーリスクと門番さんは元気だろうか。

そういえば名前を聞くのを忘れていたな。

イグニスはそんなことを思いながら、訓練場へと足を運んでいた。

訓練場の入り口が目の前にくる。

この先に待っているものの殺意なのか、昼に訪れた場所と比べると少し違和感があった。

イグニスはそれに動じることなく、訓練場の中に入った。


そこに待ち受けていたのは、骸骨の仮面をかぶった大柄の男だった。

イグニスはその男を知っている。

見たことはないが知っている。なぜならその男は、

戦場に出た者ならだれでも知っている男だからだ。

その名は、骨折り。戦場の傭兵だった。

獣王国の事件を起こした張本人がそこに立っていた。



門番の名前。


名前はカウェア。

セーリスクの先輩である。

生まれも育ちも中立国。

口調は敬語で、メガネをかけている。

努力家で趣味は魔法のお勉強。

もともと才能ある剣士だったが、獣王国の王などの実力あるものをみて挫折。

しかしそれを機に自身の後輩の育成に専念するようになった。

子供は三人欲しいらしい。

意外と多才で、妻の誕生日には自作の縫物をプレゼントする優しい人。

自分以上の才能を感じたセーリスクに期待をもち、これからの成長を楽しみにしている。

なんだかんだ、ライラックのセーリスクの片思いとそれが砕ける瞬間をみている人。

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