表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/60

悪魔のささやき③


部屋に入りドアを閉めた。


「なぁな、まだ怒ってるの?」


ううん、違うよ。


大丈夫。


「ごめん、ごめん。大丈夫だよ」


動揺を隠せずにいた。


「なぁな」


ツバサくんの手が肩に乗った。


ドキッとした。


勇磨に怒られるな、そんな風に思って自分が嫌になる。


約束ばっか、させるからだ。


だから何しても罪悪感しかない。

今、こうして2人で部屋にいて、

最高に幸せなのに、ツライ。


香澄ちゃんへの後ろめたさも、もちろんある。

分かってる。


「こんな時、どうやって女の子を慰めたらいいか、

分かんないや。工藤に聞いておかないとな」


なんで、今、勇磨の事を言うかなぁ。


本当にツバサくんって。


ちょっと笑いが込み上げた。


「あ、なぁな、笑った。」


喜ぶツバサくんに、私も少し元気になった。


やっぱり私、ツバサくんが好きだ。


「なぁなはさ、工藤の事、嫌いなんだね。」


え。


昨日とは逆の質問。


また笑った。


「え、なんで?」


「うんと、ケンカするから。なぁな、すごく怒るからさ。

俺には怒らないでしょ。というか、なぁなが怒るのってあんまりないよね」


そっか、そうだね。


でもね、ツバサくん。


私、本当はいつも怒ってた。


いつもいつも心の中で怒ってたんだよ。


勇磨といるようになって、心の中から外に出ちゃったけど。


バカ、俺にも隠せよって笑われそうだね。


思い出しただけで泣き笑いみたいな顔になる。

どうしたんだ、私。


「勇磨の事は…嫌いじゃないよ。大好きだよ。

だけど時々、すごく腹が立って押さえられなくて、

ケンカになるんだ。

ケンカするとすごく悲しくなってさ、

仲直りするとすごく嬉しい」


本当の事だ。


本人には言いたくないけど。


ツバサくんは首をかしげる。


「じゃあ俺となぁなとは違うね。

俺はなぁなとケンカしたくないもん」


そうだね。


ツバサくんとはケンカにならないね。


「相性いいんだね」


そういう罪な事を言うところ、かわいい。


だけど、その言葉にまた私の中の悪意が、

広がって止められなくなった。


「香澄ちゃんとは?ケンカになるんだよね」


聞いてみた。

ちょっとツラそうに頷く。


「うん。すぐ怒るんだよ。俺が女の子と話してるだけで。

好きなのは香澄ちゃんなのに、別の子が好きなのか?

って聞くし、無視したりするしね。

どうしたらいいのかな」


好きなんだ、香澄ちゃんの事。


でも、相性悪いよ。


好きなのも勘違いだよ。


別れなって。


「好きだったら相手の気持ち、理解しないとね。

一方的に怒ったり無視するのはよくないし、

本当に好きなのかなって思っちゃうよ。」


だから別れなっ。

ドクドク音を立てて体中を悪意が駆け巡る。


「メールも電話も無視されて」


だから別れなって。


「それはないね。本当に好きなら、

連絡するはずだよ。

しないって事は好きじゃないんだよ」


だから、別れろ!


「うん、そうだよね。相手の気持ち、理解しないとね。

なぁなの言う通り、自分から、何度も連絡してみるよ。」


え。


悪意の流れが止まる。

体が一気に冷える。


なんで、そうなるの?


どうしてそう思う?


ツバサくんってどういう耳をしてるの?


「やっぱ、なぁなだな。本当に優しいね。なぁなといると安心する」


なんだろう。


ツバサくんって。


無垢なの?バカなの?


イライラする。


私がこうして今、あなたを心の中でディスってる事、気が付かないでしょ。


勇磨なら1発で気がつくのに。


勇磨にだったら言えるのに。


別れて欲しい。


また私の所に戻ってきて。


私が面倒見るから。


私の中でタガが外れる音がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ