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魔械戦争  作者: 製造物
オープニング
5/5

4、男の実力

 黒の兵士が僕らに襲いかかってくる中、目の前の男は剣を下段に落とした。

 そして刹那、爆風とともに散る数体もの黒の破片。

 全然、目で追うことができなかった。

 わかったのは男に襲いかかってきた兵士が粉々になったという結果だけだ。


 目で見て思った。

 この人は世間から“英雄”と呼ばれる存在だ。

 そしてこの人はなんらかの任務でこの敵達から僕らを助けにきてくれたのだろう。


 そんな淡い希望を持ってしまった。


 そんな僕の気持ちを放っておくように兵士たちは男に迫る。

 しかし男に近寄ったその瞬間、神域に触れたように砂となって舞う。

 それでも狂ったように男の元へと群がる兵士たち。

 赤く光る眼は先ほどよりも荒れ狂っているように思えた。


 だが男はそれを作業であるかのように捌いていく。

 凄まじい剣戟と変化のない表情とともに。

 拳でも蹴りでも光線でも爆発でも彼には届かない。

 恐らくは剣の周りなら何らかの魔法を施しているのだろう。

 しかしそれ以上の想像はつかない。

 ただチート級であることは想像できる。


『グガァアアアアアアアアア!!!!!!』


 しかし男に立ちはだかるように現れる巨体。

 先程までの兵士と同様に黒色の光沢も存在している。

 そして振り上げられた拳。

 先程までの一撃とはレベルが違う破壊力になるだろう。

 しかしそんな一撃にも関わらず男は直立姿勢の下段構え。

 しかも剣を片手で持つというおまけ付き。

 もちろんそんな程度で受け止めきれる攻撃ではない。

 もしかしたらさっきの魔法であれば受け止められるのかもしれないが・・・


 瞬間、音もなく銀が瞬いた。


 気づいた時には男の姿勢は剣を振り抜いた形に変わっていた。

 そしてそれに続くようにして奏でられる轟音。

 巨体の兵士は男を目の前に落ちた。

 あれほどの巨大な敵が一瞬で葬られた。

 その事実に口を大きく開ける。


「何、呆然としている?」


 そしていつのまにか抱えられていた僕。

 衝撃も何もなかったので気づくことすらできていなかった。

 ところで今までの攻撃はもしかして全て剣技だったのだろうか?

 だとすれば人間の限界を越していると考えてもいい。

 そう考えるとすれば人型の魔獣?

 だが意思疎通はできる。

 じゃあ・・・“剣聖”、そう呼ばれる存在なのだろうか、この男は。

 だが神々しさは一切ない。


「下らんことを考えているところ失礼だが・・・飛ぶぞ?」

「へ?」


 瞬間光景が変わった。

 先程まで村の端の方の畑の中にいたにも関わらず、もう村の中心へとたどり着いていた。

 あまりにも急な変化に頭がついていかない。

 しかも一切の抵抗や音がなかったのも僕が驚いた原因の一つだ。


 そしてたどり着いた先にいたのは見慣れた村の住民と独特な雰囲気を醸し出す人々。

 恐らくは自分を抱える男と同様、なんらかの実力者だろう。

 ただしそこにいた住民は明らかに少ない。

 いるメンバーは自分を除いて全員が強力な魔法を使える人間だ。


「さてと・・・みんな集まったかしら?」


 鈴の音のような澄んだ声。


 緋色の女性は人々の意識を掻い潜り立っていた。

 さらにその脇にいる淡い緑の少女と黄色の男。

 その三人は当然のように人々の中心で立っている。

 そして黒色の男の元に赤色の女性が近づいて・・・


「アホかぁああああああああ!!!!!」

「ブベフッ!!??」

「「「「「え? ・・・ぇえええええ!!??」」」」」


 回転蹴り!

 男は大袈裟なレベルで吹き飛ぶ!

 だがそこに女が追撃を入れる。


「燃えろ!!」

「アッツ!!?」


 ・・・炎で。

 いや、綺麗な花火なんですけどね。

 決して汚くはないですよ。

 汚い花火じゃないですよ。

 でも爆発だよ。

 アッツ!? で済む問題じゃないよ。


「アンタはいっつも、いっつも、後先考えずに行動してぇえええええ!!!!」

「熱いから!! 熱いから! 勘弁して!! カグラ!!」


 ・・・さっきまでの威圧感は何処いずこですか?


 それが僕の心境でした。

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