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リベラにて ①

 放課後リベラに行ったがまだ己雪さんは来ていなかった。

 いつものようにコーヒーを頼んで奥の席へ座る。

 己雪さんが奥の席を選んでいた理由が少し分かったような気がする。

 ここは他の席から見えにくいのだ。エフにアクセスして眼を閉じている時、やはり恥ずかしいのだろう。それに視線が少ない分、一人で居ても何故だか落いて考える事が出来た。

 己雪さんは、あと少しのような事を言っていた。

 俺にはあと少しが良く分からなかったが、エフの住人と会話する事がそんなに恐ろしいとも思わなかった。


 コーヒーを飲みながら考えていると己雪さんがやってきた。

「やぁ、馨くん。今日は君の方が早かったね。」

「えぇ、試験も終わって授業もほとんどありませんでしたから」

「そうか、試験はどうだったのかな?」

「今回はいつもより上を目指してみました」

「ほぉ、それでどうだったのかな?」

「なかなか難しいですね。普段サボっているのが身に染みましたよ」

「ははは、まぁそれはしょうがないよね」

「それなりにはいったと思いますが、結果が出てみないと分からないです。」

 あまり自身は無かったので少しぼかすような言い方をした。


「まぁ、そんなものだよ。」

「己雪さんはどうでしたか?」

「私?私はまぁ、いつも通りだよ」

「いつも通りという事は学年一位ですか?」

「まだ結果が出ていないからね。私も結果が出てみないと分からないわよ」

「そうですね」

 やっぱり己雪さんは凄いのだろう。話していても自信が無いような印象は受けない。


「じゃあこの間の続きをやろうか」

 試験の話もそこそこにしてエフの話を始めた。

「さて、この間は部屋の中で自分と会話してもらっていたのだけど覚えているかな」

「えぇ、もちろん覚えていますよ。なんとも不思議な感じでしたから」

「まぁ、そうだよね。自分と対峙するのはどうも小っ恥ずかしいものだからね。でもそれがEFにアクセスするにはどうしても通らないといけない道だから我慢してね」

「わかりました。」


「じゃあ、今日もそこから行ってみようか。それともし、話をしていて相手が自分の意図しない言葉を言っていたら要注意だよ。」

「自分の意図しない言葉ですか?」

「そう、自分の意識の中で話をしているはずなのに、自分じゃない誰かと話をしている感覚というのかな?そうなった時、相手はエフの住人になっている可能性があるわ。」

「なるほど、でもエフの住人が出てきたらどうすれば良いのでしょうか?」

「そっから先はエフの住人に任せるしかないかな。対峙方法は人それぞれ違うから。彼の意識に飲み込まれないように。ここについてはそれしかアドバイスできないわ。」


 俺はなんとも言えない気持ちになったが、分からないものはどうしようもない。

「つまりやってみないとわからない。という事なのでしょうか?」

「そうだね。過去の事例を伝える事はできるかもしれないけれども、そうやって過去の事例をつたって対峙してもエフの住人は納得しないわ。それに今ここで聞いている事もエフの住人は同じように知っているのよ。何も知らないまっさらな状態で望む方が彼も受け入れてくれる可能性が高いわ」

「分かりました。はじめますね。」

 そう言うと俺は眼を閉じて集中し始めた。

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