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いつもの朝

 目が覚めて、薄ら眼を開ける。

 カーテンの隙間から朝日が射してきて眩しさに目を閉じたくなる。

 目覚まし代わりにしているラジオが鳴っている。

 今日という日付に過去何があったのか紹介している。

 ラジオを聞き流しながら、隣で鳴っている目覚まし時計を止める。


 朝起きるのが弱い、他の人よりも起きるのに大分苦労しているのではないだろうか、頭が冴えないまま、そのままぼんやりと布団の中にいる事もある。

そうしていると決まった時間を通りすごして遅刻してしまうので目覚ましを何個もかけて起きるように頑張っている。


 布団から出てカーテンを開ける。光が部屋全体に広がる。

 体全体に光を浴びて目を覚まそうとするが、まだ瞼は重い。

 そうしている間に別の目覚まし時計が鳴り始めた。どんどん時間が経っていく、これはまずいなと思いながら目覚ましを止める。とりあえず顔でも洗って出かける用意をしないと、と思い自分の頬をパチンと両手で叩いて気合を入れた。


 朝ごはんを食べて学校に出かける。

 早起きは三文の得とか、朝活とか言うけれども、とにかく俺は眠くてはっきりと目が覚めないのでお得感も朝の効率アップも無縁に過ごしている。街中を歩いているとコーヒーショップにサラリーマンがコーヒーを飲みながら何かパソコンを打っている。

 背筋を伸ばしてカツカツと歩く女性、OLなのだろうか、「ぎっ」と擬音が出るような鋭い目つきをしてまっすぐ前を向いて足早に通り過ぎていく。


 のんびりと歩いている俺を周りの人は追い抜いていく。

 まぁそれでも学校に遅刻する事は無い時間には出ていたので特に気にもせず歩いていく。俺のぼんやりとした頭をすっきりさせるのは朝の日光でも、顔にかかる冷たい水でもない。


 「やっぱりこれだよね」

 そう一人納得しながらカバンからイヤホンを取り出して耳にかける。

携帯に繋いで再生する。ドラム、ベースの音から始まり激しいギターの音、ストリングスの音が共鳴する。メロディアスな音にテンションが上がる。

 ロックというのか、メタルというのか、そういったジャンル分けは良くわからない。心を高揚させる音を聞いていると人前にも関わらずギターを弾くふりをしたくなる。


 右手の親指と人差し指を合わせてピックを持つような手つきで弦を弾くような仕草をしそうになって、慌てて止めた。周りを思わず見渡して、特に知り合いもいないのを確認してほっとする。

 それでも首を左右に振ってキョロキョロとした様は挙動不審に見えているのだろうか、ただの怪しい人だ。そう恥ずかしくなってしまい早く今居る場所を立ち去りたくて足取りを早くした。


 学校に近くまで来て、急に後ろからイヤホンを外されて声をかけられた。

「おはよう、朝から何にやけてんのよ」桃香だ。

 小学生からの腐れ縁とでもいうのか、同じ学校に通い続けている。

 これはまた、朝から人のイヤホンを無理やり外すとはご機嫌斜めなのでしょうか?面倒くさいなと思いながらも返事をする。


「なんでもねぇよ」

 そしていつも通り、そのまま歩いていく。

 聞いていた曲を途中で方耳を無理やりシャットアウトされたため、まだ続きが聞きたかった。外されたイヤホンを戻そうとする。

 「人が話しかけてるんだからイヤホンつけないの、それにもうすぐ学校なんだから先生に見つかったら没収されるよ」


「あぁ、わかってるよ」

 と言いながら今まで聞いていた曲に名残をおしみながらカバンにしまった。

「今日は人類が初めて月に立った日らしいよ」

 特にこれといって話題も無かったので、朝ラジオで言っていた話をする。

「そうなんだ、よく知っているわね。どうせラジオで言っていたんでしょ?」

 そう言われて、ちょっとひっかかる所があったけどその通りなので、


「そうだよ」と軽く返した。

「朝会うと、いつも今日は何の日の話だからね、そりゃ毎日同じパターンの会話だから分かるわよ。」

 そういって桃香は笑って人の頬を指で指してきた。

 痛えよ、指差すなよ、思いながら少しむっとして、横にずれて指を交わした。


「人が指差しているんだから逃げないでよ、毎日、今日が何の日か聞かされても、たまには面白い事もあるから良いわよ。ただ、そんな事毎日言っていたら、毎朝ニュースをチェックして毎日天気の話をするサラリーマンみたいになっちゃうわよ。」

 そう笑いながらも文句を言ってきた。

「いずれはお前も同じような毎日天気の話をするようになるんだよ」

 俺は前を向いたまま答える。

「ねぇ、馨は宇宙に行きたい?月に立ってみたい?」

 話を変えてそう聞いてきた。

「宇宙?興味ないな、行ってみたところで何もないんだろ。無重力を体験してただ戻ってくるだけだよ。」

「つれないわね。私は行ってみたいけどな。夏休みに宇宙に連れて行ってくれる親切な人いないかな~、宇宙に行って無重力でティータイム。空中に浮いた紅茶を飲むの。それで地球を見ながら地球は青かったなんて言ってみたり、」


 桃香は話しながら人の腕に勝手に手をかけてきた。

「えぇ!?宇宙行ってそれだけじゃ、どれだけ贅沢なんだよ。」

「じゃあ、何よ。馨は何するのよ、家でゴロゴロしてるよりよっぽど良いわよ。そもそも夏休みもどうするつもりなの?もうすぐ夏休みよ。部活も入ってないんだから何もすること無いんじゃないの?」

 俺の言った事が気に入らないのだろう、関係ない事にまで突っ込んできた。そして勝手にかけてきた腕から手を離してパチンと俺の腕を叩いた。

「宇宙人と会って国際交流するくらいできるなら別だけどな、まぁその宇宙人自体いるかどうかわからないんだし。毎日忙しいんだよ。そんな事してる暇人じゃないよ」

 適当に答えて叩かれた自分の腕をいたわっていた。

「忙しいって何が忙しいのかしらね。部活もしてない、習い事もない、どこをどうみても暇人にしか見えませんけど~~」


 桃香はそういいながら、また人の頬を指してきた。

「まったくどこの女子中学生が人のことを平気で指差すのかね、お行儀が悪いですよ」

 そう指を指されたまま返事をすると

「あんたみたいのは指差されるくらいが丁度いいのよ」

 と言い返して、指をぐりぐりと更に押し付けてから腹に軽いパンチを当ててきた。

「いてて、相変わらず手が出るやつだな」

 それでようやくすっきりしてきたのか桃香のご機嫌は普通になってきた。

「夏休み暇なんでしょ」

 今度は人の予定を断定するかのように聞いてきた。

「忙しいって言ってんだろ、何か用でもあるのか?」

 そっけない返事を返すと

「そう、別に何もないわよ」

 そういってまたご機嫌斜めになってしまった。ほどなく学校に着いて、お互い別々のクラスなので「じゃあな」と言った。あいつはまだ機嫌が悪いのだろう、舌を出した後、そっぽ向いて去って行った。


昔書いていたが、ボツにした作品を手を直して出してみようかと。

読み返しても心が痛くなる文章ですが、当時は当時で頑張っていたような気もするので

コメント頂けると嬉しいです…。

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