第5話 元男子は自分の立場を理解する話。
ほんっと、お待たせしました!ごめんなさい!
今、俺ら家族は、食後の雑談をしているところです。この時間は何気楽しいんだよね。
「そういえば遥、学校どうなったんだろ?四月から高校生だろ?」
「あっ~!!忘れてた!」
そうだった。俺は四月から高校だった。あんなに受験勉強したのに入れないとか嫌だよ?
「とりあえず、いろいろ確認してみるね?」
「うん。」
*****
「保険証は女になってたわ。」
「中学の学生証も女になってた。写真は男のままだったけど。」
「写真アルバムは元のままだったぞ?でも、年賀状は女として認識されてたから親戚は遥のこと女だと思ってるな。」
「え...」
そうなると、まさか、親友の健吾にも...心配だ...
もはや健吾が唯一の友達と言っていいくらい友達が少なかった俺は、もしアイツにも忘れられてたら死ねる。うん。
「ちょっと健吾に電話してみるね。確認のため。」
「うん。」
...勇気いるねこれ...かけるぞ...
トゥルルル...トゥルルルル...
『もしもし。加藤です。』
お母さんが出た。
「えと...高橋です。健吾くんいますか?」
『いるわよ。ちょっと待っててね。』
*****
『もしもし?』
「あ、もしもし?俺...だけどわかる?」
『あれ?遥?どうしたその声?』
「じつはかくかくしかじかで...」
*****
『へえ、そんなことあるもんなのか?ちょっと女になった遥見てみてぇし、明日、ヒマ?』
!? ずいぶんすんなり受け止めたね!?
「まぁ、暇だけど...」
『お、じゃあちょっと遊ぼうぜ?十時くらいにお前の家行くから。』
「うぇ?うん、いいよ?」
『じゃ、また明日な。』
「うん、じゃあね。」
よかった...健吾、俺のこと覚えてた...
「あら、遥ちゃんのこと覚えててくれたみたいね。よかったわね。」
「うん。」
「あ、遥ちゃん、そろそろお風呂入ってね。」
「あ、うん。」
「髪は丁寧に洗いなさいよ?体も擦りすぎないでね。」
「うぇ?あ、は~い。」
そっか、女の子だといちいち面倒なのか...
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...お風呂にやってきて服を脱いだわけですけど...
ドキドキするね!?
自分の体で興奮するとかヘンタイさんかよ!って言いたくなるよね...
でも女の人の体ちゃんと見るの初めてだし...
この体、あんまり胸大きくないよね。どうせなら大きくなりたかったなぁ...
うわ、肌、ぷにぷにしてる...あ、ここ、気持ちいい...
って、なにしてるのだ俺は!!!早くあがろ...
...髪洗うの時間かかってめんどくさいね。大変ですね。女性の方々は。
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長い一日だったな...今日起きたら女の子になってて、両親が野獣と化して、女物の服買いに行って、パンケーキ食べて、女の子としてしつけられて、料理もやらされて。これから俺、どうなっちゃうんだろうな...もしかしたら起きたら男に戻ってないかな...まぁ、起きればわかるよね。早く寝ちゃお。
「母さん、おやすみ~」
「あら、もう寝るの?おやすみ。」
明日は何事もないといいな...
そう思って俺は深い眠りにについた...
次回は健吾くんと遊びに行く話になります。
連休でもう1話投稿できるようにがんばります。