工藤桜子 カースト制度
「「うっふ~ん」
満面の笑みで桜子が保健室に入ってくる。
「病人じゃない人は、ここに来ないように」
誠史郎がたしなめる。
「誠ちゃんにちゃんと報告しに来てやったのよ!」
ふてくされて桜子が言う。
「あのねーこの前先輩と帰ってたらね~他の先輩に会って
『コイツ誰?』って聞かれて、先輩『今、つきあってる子』って言ってくれたの~。
今、アタシ最高に輝いている~」
桜子が1人で世界に入ってしまっている。
「ノロケるんだったら、うるさいから教室でやりなさい」
呆れ顔で誠史郎が言う。
「わかってないなあ、誠ちゃんは!クラスの人間関係はビミョ~なのよ。
彼氏いない子だったり、別れてたり、いろいろうかつなこと
ラブラブ言ってらんないの!ハブられたくないしね」
「ハブられる?」
誠史郎が聞き返す。
「うん。うちは平気だと思うけど、E組なんかカースト制度出来ちゃってるよ」
「カースト制度?」
「え?誠ちゃん知らないの?」
「あのねぇ何も知らないのは君でしょう」
誠史郎が冷たく言う。
「日本にカースト制度はありません」
「だーかーらーE組だってば!あそこ生徒同士でランクつけてんのよ」
「ん、どんな?」
誠史郎が聞き返す。
「うーん。確か何段階かあってクラスの中心になりそうな子や、かわいい子とか高くて、
それから普通の子に降りていって、一番下はパシリさせられたり、
無視されたり?もしウチにもそんなのがあって、目つけられんのイヤじゃん?
ウチのクラスに飛び火してたらやじゃん?」
あ、じゃあね~先輩が待ってる。と言って桜子はパタパタと出て行く。
「・・・そんな事があったんですか」
北斗が誠史郎に視線を向ける。
「うーん。担任にそれとなく伝えますが、E組の生徒が来ないって事は、
ここに来れないんでしょうねぇ。情報が漏れるのを恐れているのかな」
誠史郎がつぶやく。
「アンケートの時も問題ない回答だったし、クラス内で生徒同士を監視しあってますね。
いくら頂点の子でも、いつ最下位に落とされるか分からない。終わりの見えない世界ですね。
生徒同士で次は自分かも。と、きっと不安と緊張の中、過ごしているに違いないでしょう」
「桜井先生・・・」
「授業見学と教頭、担任との面談。いじめが発生していないかの確認。
場合によっては生徒との個人面談・・・ん~」
「これは長引きそうだな・・・やだな~」
「桜井先生!」
「ん?やりますよ~。これが僕の仕事ですからね。
それに日本にはカースト制度はありませんから」
ん~と伸びをしながら誠史郎は北斗に微笑んで見せた。




