新たなる来訪者
前回の予告どうり、紹介スペ-スとさしていただきます。
国:技術の進化を独占するため独裁政治となり50年。独裁政治になる前に造られた最強の武器がワールドエンドブレイドなのである。それに対抗し造られたのが生物兵器、半獣化型人間。
歓声が聞こえる。その歓声に合わせて心臓が脈打ち、手に汗が滲む。
この感覚は恐怖?怯え?違う。そんなんじゃない。一言で言うなら、そう、高揚感。
『さてさて!お待たせいたしました!本日行われるのはブラックドラゴンの四天王による、危険生物の討伐ショーです。』
司会の声と共に、私の目の前の重厚な扉があき、外界の光りが眩しいと感じてしまい、目を細めた。視界がよくわからなくても、私たち四人の耳まで直に届く歓声に押された。
『ルールは、武器や防具の使用可です。合図と共にこの円形闘技場内に放される、ブラッドドッグを討伐してもらいます。たったそれだけ。では、四天王の紹介です。四天王のアイドル的存在。ツインテールがチャームポイントの古森 奏!』
スポットライトの先に紛う事なき美少女。割れんばかりの悲鳴。本当にアイドル的な存在なのだと実感させるには十分だった。
『四天王のマスコット。最年長にして最小、百鳥 逢琉!』
次に照らされたのは、司会の言葉通りの小さい男の子。あれで最年長と言うのだから信じられない。
『四天王の鬼神。身長約180㎝、仲屋敷 美羅!』
アイドル、マスコットと来ていきなり鬼神とは何と統一感のない異名かと思ったけど、彼は納得のルックスである。そろそろ、待機させているブラッドドックの限界が来そうなのだが。
『さぁ、皆様お待ちかね。中等部の頃から有名だった神園の双子を倒し、あの学年の頂点に立った。期待の新人。大峰 怜理!どんな華麗な戦いを見せてくれるのでしょう!……始めっ!!』
扉が開きグルグルと唸っていた犬共が、よほどお腹が空いているのか真っ直ぐこちらに向かってくる。その数は、約二十匹ほどだろうか。体長約三mというのもあってより強いように見えた。
右横にいた、古森先輩(一応年上なので)が細く鋭い鉄の棒を一匹の額に差し込んだ。他の先輩方も、次々に薙ぎ払っていく。これが私の仲間になる人たちなのだ。
私も短剣を取り出し単調な攻撃をよけながら急所へと近づく。
「残念。おねぇちゃんはもっと強いはずなのになぁ。」
大きな声が響いた。会場は静まり、ブラッドドッグはそれを見て怯えた様子で檻の中に帰って行った。
いつの間にだろう、闘技場の壁の上に1人の人が座っていたのだ。賊が襲うため、未来の敵となる人物を殺しに学校に来るのはよくあることだが、敷地内に侵入されているにもかかわらず誰も気づいていないとは異常だ。
人の容姿は、顔は能面のような面をしていて表情は読み取れない。そして袴に黒い猫耳の帽子。あれは間違いなく「黒ネコ団」
夜の闇に紛れ、人を狩る。あいつらの目的はただ一つだけにあり、その為にしか動かないという。私も何度も狙われた事がある。国ですらその実態を掴めず苦戦するほどの強賊。
「ねぇ、もう追い付いたんでしょ?早く標的を捕まえようよ。」
そいつの横にぞろぞろと仲間と思われる奴らが、五、六人ではあるが仲間が集まってきていた。
……だが、もう分かっているんだ。黒ネコ団のリーダーは怜瑠だって事。
「我らの目的は大峰 怜理の捕獲!。その他、邪魔する者がいたら即座に殺す。」
その声に多くの人は出口へ殺到し、数人だけが立ち向かうべく私のまわりに集結した。
大峰 怜理<オオミネ レイリ>
身長:162㎝ぐらい。容姿:肩までの茶髪でサイドを編み込み。所属:黒龍。その他:ワールドエンドブレイドの使い手。