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桃の花

皆様、覚えておいででしょうか?一話目で少しだけ出て来た、怜理の友達、双子の姉、桃ちゃん目線のお話です。

 人間のランクを決めるのは他人からの評価だ。他人の評価はその人の実力で決まる。

 実際、私たちのランクは確実に上位である。


 親が子を捨て、国が兵士として育てる時代。運も実力のうちというのはまさに私たちのために造られた言葉だといっても過言ではない。

 子は親を選べないのに、私たちの親は一握りの富豪の1人であり、お金に困った事はない。偶然か必然か容姿、能力ともに富豪としては申し分なかった。

 双子の姉である私、桃は学校一の戦闘能力を誇っていた。剣術は少し苦手だが、射撃の腕は、神と崇められるほどだった。

 双子の弟の柚は、いわゆる天才。こいつに勝てる奴なんていなかった。

 私たち双子は二人で一つで、無敵だったのだ。

 中等部までは……。


 高等部進学直後、私たちに衝撃のニュースが舞い込んだ。

 進学テストで、柚が2位だったということだ。しかも3点という大差を付けられて負けたのだ。

 私はすぐに1位の奴を探した。校内で有名になっていたのですぐに見つかった。大峰 怜理、外部から入学。

「柚、私が敵討ちしてあげる。」私のやる事は決まっていた。

 高等部に入ると、兵士として国に仕えるための準備期間となる。進学してすぐ、迎える試練は実践試験だ。

 学校の武器庫から二つ武器を選び、トーナメント方式で試合をする。相手の動きを制した方が勝ち。私は中等部の頃からやっていたし、これで負けた事はなかった。

 あの大峰とあたるのは決勝戦。戦うのは難しいか、まぁあいつより強い奴との試合の方がおもしろい。

 先生が、校内の武器庫へ連れて来た。剣や槍、弓など様々な武器がある。もちろん私は、迷わず銃を選んだ。連射が出来るタイプとそうでない奴を一つずつ。ふと、剣が並ぶ棚に目をやると私の肩までの大きさがある三又のフォークのような武器があった。ただ、ダサいと思った。


 実践試験決勝、予想外の事態が起きた。当たり前のように勝ち進んだ試合、トーナメント表の赤い線をたどると、またあの名前。

『決勝戦進出は、この二人!最強確実、神園 桃!』

 会場の視線が私に集まる。この感覚にはいまだ慣れない。隠れる場所が無いような、そんな気がして。

『そして、外部入学組のダークホース、大峰 怜理!』

 そう。あいつだ。勝ち進んでいたのか。でも準決勝の試合を見る限りでは私の相手ではないらしい。

 司会がルール説明に移る。

『二つの武器を駆使して、相手の動きを制してください。殴る蹴るなども許されていますが、死なないようにほどほどに。笛の合図とともに試合開始です。決着がついた時点で審判が2回目の笛を鳴らします。では、両者全力を尽くしてください!』


 甲高い笛の音とともに、顎に凄まじい衝撃が走った。脳が冷静に大峰に蹴られたと判断し、距離をとった。何という身体能力だ。でも、これで!

 銃に網を仕込み、大峰めがけて放つ。針金が編み込まれた、網だ。そう簡単には逃げられない。

 網は確実に大峰の体を捕えた。はずだった。


 金属が擦れる音がしたと思ったら、網を突き破ってあいつが出て来た。その手に握られていたのは、あの三又の大型フォークの武器だった。

 あの時はダサいと思ったはずなのに今は、この気迫に負けている。

 ……あいつ何者?

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