姉妹
四条 悠雷<シジョウ ユウライ>
身長:182㎝ぐらい。容姿:イケメンって事になってる。所属:白龍。その他:オオカミの半獣化型人間。
状況が判断できない。
鉄壁の護衛を誇るこの養成学校が賊に襲撃されていて、しかもその賊のリーダーが俺の彼女である怜理と酷似した匂いがしている。おそらく以前話していた“賊にさらわれた妹”というやつだろう。その証拠に怜理の事を“おねぇちゃん”と呼んでいた。しかし怜理は“賊にさらわれた”と言ったのだ。“探している”とも言っていた。その時は嘘の匂いはしていなかった筈だ。
この状況を詳しく説明できるなら怜理と怜瑠の二人だけだ。
「ふぅ、残ったのは9人か。教員も逃げたのか。でもまぁ、これなら顔、隠す必要ないね。」
そう言って怜瑠は仮面を脱いだ。怜瑠は双子と言っても過言ではないくらいに似ていた。怜理に。唯一違うのは髪が腰まであるという事。それを見てほとんどの人間がざわついた。
残ったのは、俺と双子と四天王とあと何故か小夏と沙彩。栗野を先頭に教師も真っ先に逃げた。
桃が銃を取り出し、奏が構える。
「おっと、今日は戦う気分じゃないんだ。勘弁してよ。」
「養成学校に忍び込んでおいて、戦う気はないと。なら、何が目的だ。」
美羅が睨みを利かせる。
「見て分からない?勧誘だよ。我が団では優秀な人員を団長である私直々に勧誘してるんだ。」
闘技場の壁の上に座っていた怜瑠は、そこから降りて、客席に座った。
「今日の勧誘は四天王だけの予定だったんだけど、良い物が手に入りそう。」
怜瑠が舌なめずりをした。
いい物とは俺らの事だろうか?少なくとも人を物扱いする奴には、付いて行く気はない。
「覚えてる?ここにいる全員と一度は会った事がある。仲屋敷 美羅は元奴隷だった子だよね。いやぁあの時は本当に感謝してほしいよ。」
「奴隷なんていない筈だ!」
声を上げたのは柚だった。今日は桃と同じ服を着ているので見分けがつかない。
「いるんだよ。国の労働力として地方の子供を買収するんだ。
百鳥 逢琉は、歩夢とかいう男の息子だよね。でも死んじゃったんだよね、歩夢君。」
逢琉が唇を噛んだ。
「古森 奏は、古い森に住む民族だったんだよね。体の柔軟さ、バランス感覚ともに優秀。でも火には勝てなかったんだ可哀そう。」
強いな。怜瑠は態度はでかいけど、確かに強い。後ろにいる奴らは……っ!!?
目を疑った。五、六人のなかの二人、黒髪の少女と小さい少年。あれは間違いなく、俺と同じ。
半獣化型人間だった。何故?俺が知っているのは俺と、あと一人だけだ。
「あ、気付いたね。こいつ等もお前と同じ、半獣だよ。ニーヤ、ユタ。変化して見せてあげなよ。」
咄嗟に目をそらす、変化を見ると気分が悪くなるからだ。
「ニーヤは、黒ヒョウなんだ。ユタはウサギ。お前と違って不完全で斬られると血が出るし、酷いと死ぬ。でもねぇこの中で勝てるのはおねぇちゃんだけだよ。」
どういうことだ?
俺は首をかしげた。
神園 柚<カミゾノ ユズ>
身長:164㎝ぐらい。容姿:桃より少し髪が短い。所属:黄三頭龍。その他:天才、父親と不倫相手の子。