魔術師の誓い
それは、中世以来続いている伝統だ。
今では、日本国内の国立手野大学魔術学部と文化学部を卒業した人たちのうち、魔術師として入学した人たちが行うことになっている。
大学の体育館において、彼らの唱和が響く。
「我らは、魔術師として、全世界の平和に貢献し、人の和を乱さず、千代に八千代に栄えるべし。我らは、魔術師!我らの力は強大、その結束は破れず、何者にも遮られず。されど、我らは平和を愛す。ゆえにここに誓う。我らのうち、平和を乱すものあれば、その者を罰するべし。我が命、魔術の振興のため果てるべし!」
このことは、風物詩となっていて、今年も、たくさんの記者がやってきていた。
実際に、平和を乱したから罰したと言う人はいないようだが、それでも、この誓いは続けられている。
おそらくは、魔術師がいなくなるまで。