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今日お姫様始めました  作者: りょう
第2章 記憶喪失少女
7/50

第7話 義妹

第7話 義妹


1

『ねえねえ祐兄』

『何だよ紅葉』

俺には守りたい人がいた。

名前は桜井紅葉。俺の義理の妹。彼女はいつも活発的で明るい性格で、誰からも好かれていた。

『私の事好き?』

『なっ、いきなり何を言い出すんだよ』

『だって私は祐兄の事が好きだもん』

『そ、そうか』

紅葉は俺にとって自慢の妹で、彼女も俺の事を好いていた。血の繋がっていない兄妹なんて関係ない。俺達は本当の家族だったんだ。

だからこそ…。

『お、おい、今何て…』

『だから紅葉ちゃんが…』

もっと早く気づくべき事に気づけず、守るべき者を守る事ができなかったことが、俺の心をどん底に落としてしまった。


「はぁ…」

またあの夢か…。

この世界にやって来てから頻繁に見るようになった、前の世界での記憶。しかも一番思い出したくない事。忘れちゃいけないのは分かっていても、どうしても目を背けたくなる現実。

(紅葉…)

俺の頬には、一粒の涙がつたっていた。

2

この国にやって来てから間もなく二週間が経とうとしていた。相変わらず姫として扱われている俺は、なかなかミッシェルに会える回数が少なく、毎日訳が分からない仕事ばかりをこなしていた。そんなある日、俺は気晴らしにちょっと城の外に出かけていた。言うまでもないが、女装で。

(この姿になれてきた自分に、若干恐怖を覚えるよな…)

かれこれ二週間この姿でいると、次第に体が馴染んできてしまっている。俺は男だってのに。

(ん? 何か騒がしいな)

適当に散歩していると、街の広場が何やら騒がしかった。

(何かあったのか?)

俺は走ってその場に向かった(姫という立場上、放置するわけにはいかないので)。

「何かあったんですか?」

「あ、姫様。実は人が倒れていて、ピクとも動かないんです」

「人が?」

人混みをかき分けて、現場に入る。そこにはうつ伏せで倒れている女の子が倒れていた。まだ子供だろうか?

(ん? 何処かで見た事があるような…)

俺は慌てて少女にかけより、身体を起こしてあげた。そして、その少女の顔を見た瞬間、

「え? も、紅葉?」

俺は今は亡き義妹の顔があった。

「な、何で…?」

子供だからか若干顔が幼いが、どう見ても紅葉だった。

「こ、この子は一旦王国が引き取りますので、皆さんはお戻りになってください」

とりあえず対応策を取り、野次馬を解散させるが、俺はかなり動揺していた。ただ似ているだけなのに…。

「紅葉…」

俺は少女の顔を見ながら、そう呟いた。

まさかこんな所で、会えるとは思っていなかったよ…。

続く

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