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今日お姫様始めました  作者: りょう
第1章 勇者になりたかった
5/50

第5話 出会い

第5話 出会い


1

「で、カステラよ。何だこれは」

この国にやって来て二日目の朝、カステラが何やら怪しい箱を持ってきたので、それを開いたら何やら衣装みたいなものが入っていた。

「決まってるじゃないですか、ユウ姫様の着替えです」

着替えだというので、試しに一枚取り出してみる。

………。

「こんなの着れるかぁぁ」

「ちょっと姫様、いきなり服を破ろうとしないでください」

「嫌だ。こんなの絶対着たくない」

「文句を言わないでくださいよ姫」

「文句言いたくなるわ!」

いくら俺が若干背が小さいからって、こんな女の子が着るような服なんて着てられない。まだドレスの方が…いや、たいして変わらないか。

「と、とにかくだ。もう少しマシなのはないのか?」

「そんな事言われましても、この服は代々受け継がれてきたものなので、皆さん喜んで着てましたよ」

「それは女性だからだよ。何度も言うが、俺は男だ」

「じゃあもう、男を捨てて、女性に目覚めましょうか」

「それだけは絶対に嫌だ」

何でこんな所に来て男を捨てなきゃならないんだ。

「分かりましたよ。そこまで言うなら新しい服を発注しますから、それまでは我慢してくださいよ姫」

「うぅっ、俺の人生が…」

誰かこの痛みを分かち合える人は居ないのだろうか? 居ないよな…。

2

城内を男の姿のまま歩くわけにはいかないので、俺は仕方なく着替え、長髪のツラをつけてメイクをして、ようやく部屋から出られた。

(あぁ、腹が減ったなぁ)

午後から姫の継承式とか何とかで忙しくなるとかカステラが言っていたので、早めに腹ごしらえをしたいのだが、城が広すぎてどこに行けばいいのか分からずに困っていると、

ドン

誰かとぶつかった。

「キャッ」

可愛い悲鳴が相手の方からあがる。

「だ、大丈夫ですか?」

俺は慌てて相手の方を見る。そこには尻もちをついている一人の黒髪の女の子がいた。

「イテテ、大丈夫ですぅ…」

そう返事すると、少女はふらふらしながら立ち上がった。

「あのあなたは平気ですか?」

そして初めて彼女と目が合った。

ドキッ

その瞬間心臓が一気に跳ね上がった。な、何て綺麗なエメラルド色の瞳をしているのだろう。

「あのう、どうかしましたか?」

「い、いえ何でもないです。お、俺…わ、私は怪我はないですけど、あなたは本当に大丈夫ですか?」

ついうっかり自分が今は女性だということを忘れてしまう。

危ない危ない。

「私は本当に大丈夫です。こう見えて丈夫な身体ですから」

笑顔で答える彼女。すごい笑顔が似合っている。

「あ、あのよかったら名前を教えていただきませんか?」

「私ですか? 私はミッシェルです。あなたは?」

「わ、私はユウです」

俺は彼女に一目惚れをしてしまったようだ。

続く

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