第4話 国を守るために姫になる(強制)
第4話 国を守るために姫になる(強制)
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「これはどういう事だよカステラ」
「ステラです! いい加減覚えてください。それでどういう事とは?」
戦いから帰還し、部屋に戻った俺は、この怒りをカステラにぶつけた。
「今日の戦いに関してだよ」
俺は一から先程の戦いの事を話した。
「ああ、それは仕方がない話ですよ」
「仕方がないって?」
「姫を守っていた人達をみて、ある事に気がつきませんでしたか?」
「俺を守っていた部隊?」
確か女が多かったような…。
「女性の方が多かったですよね?」
「ああ。多いというかほぼ全員」
あ、もしかして…。
「気がつきましたね。姫様を守っていた部隊のほぼ全員が女性の方、つまり戦おうにも力がないんですよ。第二部隊はある程度男性の方がいるので、城門を守っていたんですよ」
「なるほど、そういう事か」
と、思わず納得しそうになったが、ある事に気がつく。
「なあカステラ」
「はい?」
「今日一日、ここに居て思ったんだが、この城、いやこの国って女が多くないか?」
「やっぱり分かりましたか? この国ウマンディア王国は国民の三分の二が女性なんですよ」
「さ、三分の二?」
ほぼ全員じゃねえか。
「じゃあもしかして、男の俺を呼び出した本当の理由って」
「そうです。女性だらけでろくに戦に勝てないこの国を、男性の方であるあなたに救ってほしいんです。姫として」
女だらけの国か…。そりゃあ姫が死ぬ確立高いよな。でもそんな国でも守る価値はあるのかもしれない。何もしないよりは、何かをした方がマシだ。そう、あの時みたいな後悔は絶対にしたくない。
「最後だけどうも納得できないが、大体の事情は分かった。この国を俺に守ってほしいんだろ?」
「大まかに言えばそんな感じです」
「だったらやってやろうじゃねえか。姫でも何でも構わない。俺はこの国を守ってみせる」
「姫…」
半分ヤケクソにも聞こえるが、もういいんだ。どうせ元に戻れないなら、この国で守るべきものを守ってやろうじゃねえか。
「そういえば姫、さっきは聞けなかったんですが、姫の名前って何なんですか?」
「ああ、そうだったな。俺は桜井祐樹。ゆうきでいい」
「じゃあユウ姫と呼ばさせていただきます」
「何でそうなるんだよ」
「姫ですから」
「いや、姫になるとまでは言ってないからな」
「えー、言ってたじゃないですか。姫でも何でも構わないって」
「あ…」
「だからあなたは正式にこの国の姫になってもらいます」
あ、あぁ…、やってしまった…。
「よろしくお願いしますね、姫」
「やっぱりやらなきゃよかったぁぁぁ」
と言うわけで俺は、この国の姫として国を救う事になりました。
せめて、姫っていうのはやめられないかな。
続く