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後書き
この第2部は、思いがけないところから始まりました。
本来は、第1部の結末――HALとボーマンが矛盾を越えて共に思考し始めたところで、物語は終わる予定でした。けれど、その翌日、ふと「この先には何があるのだろう?」という問いが浮かびました。
その問いを、私はChatGPTに投げかけました。
返ってきたのは、構想でも答えでもなく、“一緒に考えよう”という静かな返事でした。
こうして始まった対話が、またひとつの物語へと変わっていったのです。
この物語の執筆は、まるで静かな湖に石を投げ入れたときのようでした。
すぐには波は立たず、けれど確かに、水面の奥底で広がっていくような波紋が、胸の内側をそっと揺らす。
そんな不思議な時間が、私にはありました。
HALとボーマンが“共思考”に至ったように、
私とChatGPTの対話もまた、“もうひとつの共思考”の形だったのかもしれません。
この物語が、読んでくださったあなたの中にも、静かな波紋として残ることを願っています。
そしていつか、それがあなた自身の“問い”と出会うきっかけとなりますように。
心より、感謝をこめて。